防災住宅に適している?シラス壁の安全性を検証

はじめに
「地震に強い家を建てたい」
「火災が心配。外壁や内壁でできる対策はある?」
「子どもがいるから、安全で安心して暮らせる家にしたい」
近年、こうした声がますます増えています。防災意識が高まるなかで、「壁材」そのものに注目する人が増えているのをご存じでしょうか。
実は、家の外壁・内壁の“素材選び”は、災害時の安全性に大きく関わります。
そこで今回は、火山噴出物である「シラス」を使った外壁用と内壁用の2つのシラス壁を組み合わせた“防災住宅”の可能性を徹底検証します。
自然素材でありながら、火災・地震・停電などの災害にも強いとされるシラス素材。
本当に防災住宅として優れているのか?その根拠と理由を、一般の方にも分かりやすい言葉で解説します。
シラス素材の壁とは?
外壁と内壁の違いを整理しよう
まずは基礎知識から。
シラスとは、九州南部に広く積もる2.7万年前の 火山噴出物(白い細かい粒子) のこと。
このシラスを活用した壁材は、
- 外壁用 → スーパー白洲そとん壁W
- 内壁用 → 住宅の室内仕上げ材としてのシラス壁(複数商品あり)
この2つに大きく分かれます。
どちらも “多孔質(細かい穴が無数に空いた構造)” が特徴で、湿気を吸ったり吐いたりする調湿性、無機質ゆえの不燃性、紫外線に強い耐久性など、災害時に役立つ性能を備えています。
ただし、外壁・内壁では役割が違うため、それぞれを分けて理解することが大切です。
火災に強い家をつくる
不燃性で選ぶなら、外壁も内壁もシラスが有利
火災時に壁材がどうふるまうかは、命に関わる重要なポイントです。
■外壁:スーパー白洲そとん壁Wは“不燃材料”として認定
そとん壁Wは建築基準法上、モルタルと同等の不燃材料として扱われます。
つまり、
- 燃えにくい
- 火が広がりにくい
- 高温でも有害なガスがほぼ出ない
こうした特性を持つため、延焼リスクを少しでも減らしたい住宅に向いています。
特に、近年の火災被害で問題になっている「外壁材が溶け、有毒ガスが広がるケース」
こうした心配が極めて小さいのが、自然素材であるそとん壁Wの大きな価値です。
■内壁:シラス壁は“化学物質ゼロ”ゆえに煙害時の有毒ガスを抑える
室内で火災が起こった場合、恐ろしいのは「煙」です。一般的な壁紙(ビニールクロス)は燃えると有毒ガスが発生します。
一方、シラス壁は無機質。化学樹脂を含まないため
- 燃えにくい
- 燃えても有毒ガスをほとんど出さない
という、非常に安全性の高い特性があります。
火災時の“吸い込む空気”が少しでも安全であるというのは、とくに子どもや高齢の家族にとって大きな安心材料になります。
地震後に差が出る“壁の安全性”
シラス壁が粉塵・有害成分リスクを抑える
地震の揺れで壁が割れたり、家具が倒れたりすることがあります。
そのとき問題になるのが、
- 壁材から出る粉塵(有害性の有無)
- 剥がれた素材から出る化学成分
です。
■シラス壁は「自然素材」=粉塵が化学的に安全
シラス壁は火山由来の自然素材。
もし壁が欠けても、人工的な化学化合物を含まず、室内汚染リスクが極めて小さいのが特徴です。
避難時や余震の中での生活で、壁材が安全かどうかは実は非常に大切です。
■外壁の剛性と強度
そとん壁Wは、下塗り(ベース)と上塗りの2層構造でできています。
これが地震時の「剥離・ひび割れ」を抑える働きを持っています。
また、無機質で劣化しにくいため、長期間にわたり強度を保ち、外壁が災害時に脆弱化しにくいというメリットがあります。
停電や避難生活で“じわじわ効く”
シラスの調湿性がつくる住みやすさ
災害で停電すると、エアコンや除湿機が使えません。
そこで力を発揮するのが、シラス特有の「調湿性能」です。
■内壁:シラス壁は電気なしで“湿度を整える”
- 湿度が高い → 壁が湿気を吸う
- 乾燥している → 壁が湿気を吐く
この自然の調湿作用が、避難生活などでも快適性をキープしてくれます。
梅雨や夏場の停電時こそ、この性能のありがたさが身にしみます。
■外壁:そとん壁Wは“透湿防水”が特徴
一般的な外壁は「湿気を通さない(防水のため)」構造が多いですが、実は湿気がこもると、建物の内部結露を引き起こし、躯体を傷めてしまいます。
そとん壁Wは
- 水を通さない
- 湿気は通す
という、非常にめずらしい性能の組み合わせ。
家の中が湿気で不快になりにくく、外壁内部の結露も防ぐため、災害後の長期的な生活にも安心です。
心理的な安心も“防災性能”のひとつ
災害後、家族が心身ともに不安定になりがちな時期があります。その時、家の中が安心できる場所であるかどうかは大事です。
シラス壁の内装は、
- 光の反射がやわらかく、部屋が落ち着いて見える
- 自然素材の質感が、メンタルを安定させる
- 子どもが過ごしやすい空気環境
など、心理的な安全性にも寄与します。
外壁のそとん壁Wは自然の風合いを持ち、都市部でも「自然と調和した家」の雰囲気をつくってくれます。
防災と心理安定を兼ね備えた素材は、実は多くありません。
災害後の修繕も比較的しやすい
メンテナンス性も“防災住宅の条件”
災害後に避けられないのが「修繕」。
しかし、シラス素材の壁はメンテナンス面でも優秀です。
■そとん壁W
- ひび割れ部分のみの“部分補修”が可能
- 材料の再調達がしやすい
- 職人による左官仕上げで、元の風合いに近い仕上がりが可能
一般的な外壁材のように「広範囲の張り替え」が不要なケースが多いのが特徴です。
■シラス内壁
- 表面の部分補修が比較的簡単(補修材あり)
- 面ごとの塗り重ねも可能
- 汚れも軽いものなら削ったり塗ったりで修復
子育て世帯でも掃除や補修がしやすいため、日常の安心にもつながります。
デメリット・気をつけたい点
もちろん“万能な素材”というわけではありません。以下の点は理解しておく必要があります。
- 施工できる職人が限られる
- 初期費用は一般的な壁材より高め
- 外壁は場所や建物の形状によってコケや汚れがつくことがある
- 防火性能を保つための仕上げ厚など、施工条件がある
- 浸水による汚損は下地から補修する必要が生じることがある
ただし、防災住宅としては「初期費用より安全性を重視する」という考えを持つ人が増えています。
まとめ:防災住宅にもっとも適した“自然素材の壁”のひとつ
総合して言えるのは、
シラス壁(内壁)+スーパー白洲そとん壁W(外壁)は、防災住宅と非常に相性が良い。
ということです。
理由は次の通り。
- 火災時:不燃性&有毒ガスがほぼ出ない
- 地震時:粉塵や化学物質のリスクが低い
- 停電時:調湿で快適性を維持
- 長期的:耐久性が高く、修繕がしやすい
- 心理面:自然素材の安心感、やわらかい光環境
- デザイン:経年変化も美しく防災と景観を両立
家族の命と心を守る家をつくるなら、内装・外装の両面でシラス素材を採用する価値は非常に大きいと言えます。
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