30年後も安心!シラス壁の耐久性を徹底解説
(施工:ひだまりほーむ 株式会社鷲見製材 ※外壁用シラス壁「スーパー白洲そとん壁W」採用)
はじめに
家を建てるとき、できるだけ「長く快適に暮らしたい」と思うのは、誰でも同じですよね。
でも実際には、年月が経つと壁が汚れたり、ヒビが入ったりして、思ったよりも早く手入れが必要になることもあります。
そんな中で、最近注目を集めているのが「シラス壁」。
自然素材でできていて、見た目もやさしく、空気をきれいにしてくれると言われています。
けれど、気になるのは「シラス壁って本当に長持ちするの?」というところですよね。
この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、「シラス壁の耐久性」をわかりやすく、そしてちょっと深く掘り下げて解説していきます。
シラス壁ってどんな壁?
まず、シラス壁の基本から。
「シラス」とは、九州地方を中心に広がる火砕流の堆積物。
火山の熱と圧力によって生まれた、細かく軽い土のような天然素材です。
このシラスを原料にした左官仕上げの壁材が「シラス壁」。
日本では昔から、土壁や漆喰(しっくい)などの自然素材の壁が使われてきました。
シラス壁もその一つで、「自然に戻る素材」として近年また人気が高まっています。
シラス壁の特徴をざっくり言うと…
シラス壁には、ほかの壁材にはない特徴がいくつもあります。
ポイントをわかりやすくまとめると、こんな感じです。
- 通気性が良く、湿気を調整してくれる
- 有害物質を吸着して、室内の空気をきれいに保つ
- 静電気が起きにくく、ホコリがつきにくい
- 燃えにくい(不燃性)ので火事にも強い
- 化学物質を使わないため、体にもやさしい
つまり「呼吸する壁」なんですね。
湿気を吸ったり吐いたりしてくれるので、梅雨でもカビが生えにくく、冬も結露しにくい。
しかも、素材自体が自然の力で空気をきれいにしてくれる。
これが多くの人が惹かれる理由なんです。
では、本題! シラス壁の耐久性は本当にすごい?
「自然素材の壁」と聞くと、「やわらかくて、すぐボロボロになるのでは?」と思う人も多いでしょう。
でも実は、シラス壁は非常に強くて長持ちする素材なんです。
その理由を、もう少し具体的に見ていきましょう。
① シラスの粒子は「セラミック」に近い
シラスの原料は、火山活動でできた高温で焼かれた天然の鉱物です。
つまり、もともと半分「焼き物」のような性質を持っています。だから、紫外線や熱、風雨にとても強いのです。
普通の塗り壁やビニールクロスは、日光で色あせたり、湿気でカビが生えたりします。
でもシラス壁は、自然の鉱物そのもの。30年経っても「素材が劣化してボロボロになる」ということはほとんどありません。
② 化学接着剤を使わないから、劣化しにくい
多くの建材は、化学のり(接着剤)で固めて作られています。
この接着剤は、年月が経つと劣化してヒビ割れたり、はがれたりする原因になります。
一方シラス壁は、化学のりを使わずに自然素材だけで固めるため、化学変化による劣化がほとんどありません。
時間が経つほどに落ち着いた風合いになり、味わいが出るのも魅力のひとつです。
③ 通気性がいいから、カビ・結露に強い
壁の中に湿気がこもると、見えない部分でカビが生えたり、内部が腐ったりします。これは建物の寿命を大きく縮める原因です。
しかしシラス壁は、「呼吸する素材」。
湿気を吸収して、乾燥すると吐き出す性質があるので、壁の中がいつもサラッとした状態に保たれます。
結果的に、建物全体の寿命を延ばすことにもつながるのです。
実際に25年以上経った家ではどうなっている?
「理屈はわかったけど、実際どうなの?」と思う方も多いでしょう。
そこで、実際の例を見てみます。
シラス壁が発売されてから25年以上。発売当時に建てたシラス壁の家が今もたくさん残っています。
多くの家では、大きなヒビやはがれはほとんど見られず、まだ十分にきれいです。
一部の汚れはありますが、それも軽く表面を削ったり、上塗りするだけでリフレッシュできます。
一般的なビニールクロスや合成塗料の壁は、10〜15年で張り替えが必要です。
それに比べると、シラス壁は2〜3倍長持ちするといわれています。
メンテナンスはほとんど不要?
ここがまたシラス壁のうれしいポイント。基本的に、特別なメンテナンスはほとんどいりません。
汚れがついても、消しゴムやメラニンスポンジで軽くこすったり、専用洗浄剤で落とせます。
もしそれでも取れない場合は、その部分だけ薄く塗り直すことも可能です。全体を塗り替える必要はないので、費用も安く済みます。
他の壁材との耐久性比較
| 壁の種類 | 耐久年数の目安 | 主な劣化原因 | メンテナンスの手間 |
|---|---|---|---|
| ビニールクロス | 約10〜15年 | 日焼け・はがれ・汚れ | 張り替えが必要 |
| 漆喰(しっくい) | 約20〜30年 | ヒビ・汚れ | 定期的な補修 |
| 珪藻土(けいそうど) | 約20年 | 水染み・欠け | 乾拭き・再塗装 |
| シラス壁 | 30年以上 | ほとんどなし | 部分補修でOK |
こうして比べてみると、シラス壁の耐久性はかなり優れていることがわかります。
しかも、塗り替えサイクルが長い分、トータルの維持費も安くなるんです。
シラス壁が長持ちするためのコツ
いくら素材が良くても、施工(塗り方)や使い方によって寿命は変わります。
せっかくの自然素材を長く楽しむために、次のポイントを意識しておきましょう。
- 信頼できる職人さんに依頼する
塗り壁は、職人の腕で仕上がりが大きく変わります。経験のある左官職人さんを選びましょう。 - 下地をしっかり作る
壁の下にある「下地」が弱いと、せっかくのシラス壁もヒビが入りやすくなります。 - 乾燥を急がせない
施工後はしっかり乾燥させることが大切です。急に乾かすとヒビが入ることがあります。 - 水がかかる場所は避ける
外壁にも使えますが、汚れがつきにくくするには、軒をしっかり出すなど建物のデザインに工夫を。
「30年後も安心」と言える理由
シラス壁の最大の魅力は、「時間が経っても、劣化ではなく“風合い”が出る」ことです。
多くの人工素材は、年月とともに汚れたり変色したりして「古びて見える」ようになります。
でもシラス壁は、自然の土や石のように、使い込むほどに味が出る。まるで、古民家やお寺の土壁が年月を経ても美しいのと同じです。
これこそ、シラス壁が「30年後も安心」と言われる理由です。
まとめ:自然と共に生きる家づくり
最後にもう一度、シラス壁の魅力をまとめましょう。
- 自然素材で、体にも環境にもやさしい
- 湿気やカビに強く、建物が長持ちする
- 化学のりを使わないので、劣化しにくい
- 30年以上使っても風合いが保たれる
- メンテナンスが簡単で、コスパも良い
シラス壁は、見た目が美しいだけでなく、「長く住み続けられる家」を支える素材です。
「子どもが大人になっても、同じ家で快適に暮らしてほしい」そんな想いを形にしたい人に、ぴったりの壁材と言えるでしょう。
スタイルにとらわれず、“家族の暮らしにフィットする美しさ”を求める人にこそ、この壁をおすすめしたいと思います。