科学で証明!シラス壁が空気を浄化するメカニズム

2025/10/08(水) シラス壁コラム


はじめに

初めてシラス壁の部屋に入った人の多くが、「なんだか空気が澄んでる」「息がしやすい」と感じます。

けれど、その理由を聞かれても、うまく説明できる人は少ないでしょう。
「自然素材だから」
「火山灰だから」
そんな言葉では片づけられない、“科学的な裏づけ”が実はあるのです。

今回は、感覚だけではなく「科学の視点」で、シラス壁がどのように空気をきれいにしているのかを、やさしくひもといていきます。


シラスの正体 ― 火山の恵みが生んだ「多孔質」素材

まず、シラスとは何か。
これは、九州南部の広い地域に分布する「火山噴出物」の一種です。

約2万5千年前、姶良カルデラ(現在の桜島周辺)で起きた大噴火によって、広大な地域に降り積もったシラスは、長い年月をかけて風化し、今では地層として豊富に採掘されています。

このシラスを顕微鏡で見ると、驚くほど細かい穴が無数に空いています。この「多孔質構造」こそが、空気をきれいにする秘密のカギです。

1グラムのシラスの中にある穴の表面積は、なんと数十平方メートルにもなると言われています。
つまり、小さな粒が“無限の空気の通り道”をつくっているのです。


メカニズム① ― 湿気を吸って、吐いて、空気を整える

私たちの暮らす空間の空気は、常に変化しています。
湿度が上がればカビやダニが発生しやすくなり、逆に乾燥しすぎるとウイルスが活発になり、肌や喉にも負担がかかります。

シラスの穴(多孔質構造)は、湿度の変化に反応して「余分な水分を吸い込み」「乾燥すると吐き出す」という動きを自然に繰り返します。
これは人工的なセンサーや機械ではなく、素材そのものが“呼吸する”ように働いているのです。
実際に実験では、ビニールクロスの部屋と比べて、シラス壁の部屋では湿度の変化がゆるやかで、「平均湿度の安定化」に明確な効果があることが確認されています。

結果として、結露やカビの発生を防ぎ、室内の空気を快適な状態に保つことができるのです。


メカニズム② ― ニオイの元を吸着・分解する

シラスは、非晶質の占める割合が60%~80%もあることで、他の火山噴出物とは決定的に異なる、極めて特異な性質を持っています。

非晶質とは、原子がバラバラに並んだ“ガラスのような構造”をもつ物質のこと。
結晶構造に比べて表面エネルギーが高く、反応が起こりやすい特徴があります。

そのため、非晶質部分が多いシラスでは、空気中の有機物や臭気成分などとの反応が活性化し、環境によっては消臭・分解・抗菌・抗ウイルスなどの機能を発揮すると考えられています。

たとえば、タバコの煙や調理中の油煙、ペットの臭いなど。これらにはアンモニアやトルエンなどの揮発性有機化合物(VOC)が含まれます。
シラスの表面に触れることで、これらの揮発性有機化合物や臭い成分を化学的に中和してくれるのです。
つまり、ただ吸い取るだけではなく、「吸って、分解して、再放出しない」――これがシラス壁の大きな特徴。
消臭スプレーのように一時的にごまかすのではなく、臭いの原因そのものを取り除く「根本的な消臭作用」を持っています。


メカニズム③ ― 静電気を防いでホコリを寄せつけない

もうひとつ見逃せないのが「静電気防止効果」です。

ビニールクロスの壁は、静電気を帯びやすく、空気中のホコリや花粉、PM2.5などの微粒子がくっつきやすい性質があります。
一方、シラス壁は天然素材であり、表面が帯電しにくいため、ホコリが壁に引き寄せられにくいのです。
その結果、空気中の浮遊物が減り、目に見えないレベルで空気がクリーンに保たれます。

「なんとなく空気が軽い」と感じる理由のひとつは、この“静電気の少なさ”にもあるのです。


実験で分かった!シラス壁の浄化パワー

研究機関や大学でも、シラス壁の機能についてさまざまな実験が行われています。

たとえば、ある実験では、密閉した箱の中にシラス壁の試料を入れ、ホルムアルデヒド濃度を測定しました。
結果、シラス壁を入れた箱では、時間の経過とともに濃度が急激に低下。
24時間後には、ほとんど検出されないレベルにまで減少しました。

また、別の実験では、アンモニアや酢酸などの臭気成分も、数時間で大幅に減少したという結果が出ています。

これらの結果からも、シラス壁が「空気を浄化する」のは感覚ではなく、科学的に実証された事実だといえます。


他の壁材とのちがい ― 「吸う」だけでなく「生かす」

珪藻土(けいそうど)や漆喰(しっくい)も、自然素材として人気の高い壁材です。
それぞれ湿気を吸収したり、空気を整える効果があります。

しかし、シラス壁が特に優れているのは、「吸着した物質を自ら分解する」点。
シラス壁は「触媒作用」によって、吸った物質を分解し、再放出を防ぎます。

つまり、吸って、浄化して、生かす――
まさに“生きている壁”なのです。


科学が裏づける「体にやさしい理由」

シラス壁の効果は空気の浄化だけではありません。

多孔質構造によって音を吸収し、室内の反響をやわらげる効果もあります。
これは、学校の教室や病院の病室など、静かで落ち着いた空間づくりにも役立ちます。
また、シラスは天然の無機質素材であり、燃えにくく、万一の火災時にも有害ガスを出しません。

つまり、「安全」「静か」「快適」――
そのすべてを支えているのが、この小さな火山の粒子なのです。


科学の先にある“人の感覚”

科学的に説明すると、シラス壁の魅力はたくさんの数値や実験結果で語れます。
でも、実際に感じる「気持ちよさ」は、数式では表せません。

部屋に入ったときの“すっとした空気”
夜の静けさ
朝の光のやわらかさ

それらは、シラスの働きと、そこに暮らす人の感覚が重なり合って生まれるものです。
科学がそれを「証明」してくれるのは、自然の力が本物だからこそだといえるでしょう。


未来の素材としての可能性

シラスの有効性は建材だけではありません。唯一無二の素材としてさまざまな研究が進められています。

例えば、シラスの薄膜化とその実用化やシラスの触媒機能の応用など。さまざまな分野での応用や実用化が進んでいます。

「火山噴出物」というと、ただの火山灰に思えるかもしれません。
でも、その中に秘められた力は、未来の生活のヒントになるかもしれません。


まとめ ― 自然の科学がつくる、やさしい空気

シラス壁の空気浄化のメカニズムをまとめると、こうなります。

  1. 多孔質構造で湿度をコントロール
  2. 触媒反応でニオイ成分を吸着・分解
  3. 静電気を防いでホコリを寄せつけない
  4. 燃えにくく、安全性も高い

「自然素材=なんとなく良いもの」ではなく、その裏にはちゃんとした理由がある。
それを知ることで、シラス壁の価値がさらに深まります。
つまり、自然のしくみの中に、科学的な合理性が詰まっているのです。

シラス壁は、最新の化学技術で作られたものではありません。
むしろ、大自然が何万年も前に作り上げた“完成された素材”です。

それを人の知恵と技術で活かし、子どもや家族の健康を守る空間づくりに役立てている――
それが、現代の「科学」と「自然」の理想的な関係ではないでしょうか。

空気は見えません。けれど、私たちの心と体は、いつもそれを感じ取っています。
シラス壁の空間に流れるのは、数字では表せない“やさしい科学”。
それが、家族の毎日を静かに支えてくれるのです。


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