北欧・和モダン・インダストリアル!シラス壁の相性を検証

はじめに
家づくりを考えるとき、誰もが一度は悩むのが「インテリアのテイスト」。
ナチュラル、北欧、和モダン、インダストリアル…と、どのスタイルにもそれぞれの魅力があります。
そしてもうひとつ、最近注目されているのが、「内装材を何で仕上げるか」という“素材選び”です。
この2つ――デザインと素材――を同時に叶えるのが、自然素材のシラス壁。
実はこのシラス壁、見た目も機能もさまざまなテイストと相性が良く、どんなスタイルの家でも不思議としっくりなじみます。
今回は、建築デザインの観点から、北欧、和モダン、インダストリアルの3スタイルに分けて、シラス壁との“相性”をわかりやすく解説します。
シラス壁とは?──素材の個性を知る
まず、シラス壁の基本から。
「シラス」とは、九州地方を中心に広がる火砕流の堆積物。
火山の熱と圧力によって生まれた、細かく軽い土のような天然素材です。
このシラスを原料にした左官仕上げの壁材が「シラス壁」。
無数の小さな孔(あな)を持つ多孔質構造で、湿気を吸ったり放出したり、空気をきれいにしたりする力があります。
自然素材でありながら、見た目のバリエーションも豊富。
ざらっとした土の質感から、フラットでモダンな表情まで、塗り方ひとつで印象がガラリと変わります。
この「表情の幅広さ」が、どんなデザインスタイルにも溶け込む理由のひとつです。
北欧スタイル × シラス壁
伝統と現代が調和する「呼吸する空間」
北欧インテリアといえば、白を基調にした明るい空間と、木のぬくもりを感じるやさしいデザイン。
そんなスタイルにシラス壁はぴったりです。
まず、シラス壁の明るい色味は、太陽の光をやわらかく反射して室内全体をやさしく包み込みます。
光が散らされることで、“まぶしくない明るさ”を生み出してくれるのです。
また、シラス壁の質感は、北欧家具のナチュラルウッドと相性抜群。
木の持つあたたかさを引き立て、全体を落ち着いたトーンにまとめます。
たとえば、白やベージュの壁に淡いグレーのシラス壁を部分使いすると、北欧らしい「やさしいコントラスト」が生まれます。
まるで北欧の冬の朝の光を閉じ込めたような、静かな明るさ。
そんな雰囲気を演出できるのも、自然素材ならではの魅力です。
和モダン × シラス壁
伝統と現代が調和する「呼吸する空間」
和モダンスタイルでは、自然素材との調和がデザインの要。
木、畳、和紙、石…といった素材の中で、シラス壁はその“つなぎ役”としてとても優秀です。
たとえば、漆喰や珪藻土よりもマットで落ち着いた色合いを出せるため、古民家のリノベーションや茶室風の空間にも自然になじみます。
さらに、シラス壁の調湿機能が、日本の四季にぴったり合う点も見逃せません。
梅雨や夏の湿気を吸い、冬は乾燥しすぎない。昔の土壁のように、空気を整える働きをしてくれます。
たとえば、和モダンの玄関や寝室に使うと、木の香りや和紙の風合いと調和し、心地よい空気が漂います。
照明の陰影が壁の微妙な凹凸に映るのも美しく、シンプルなのに「品のある空間」になるのが特徴です。
インダストリアル × シラス壁
無機質の中に“自然の余白”をつくる
インダストリアルスタイルと聞くと、コンクリートやアイアン、無垢の木など、少しハードで無機質な印象を持つかもしれません。
そんな空間にこそ、シラス壁は絶妙なバランスを生み出します。
コンクリート壁よりも柔らかく、塗りムラや手仕事の跡が残ることで、無機質な空間に“人の温度”を足してくれるのです。
たとえば、グレー系のシラス壁を使うと、照明によって陰影が変化し、時間帯ごとに違う表情を見せます。
金属や黒いフレームと合わせても冷たくならず、ナチュラルで上質な雰囲気を保てます。
また、シラス壁は静電気が起きにくく、ほこりを寄せつけにくいという特性もあるため、シンプル&クリーンを大切にするインダストリアル空間にも最適です。
デザインと機能の両立 ── “美しい空気”をつくる壁
デザイン性だけでなく、シラス壁の魅力は“機能性”にもあります。
- 湿度を整える
- ニオイを吸着・分解する
- 空気中の化学物質を低減する
つまり、見た目が美しいだけでなく、空気まで美しくする壁材。
これが、デザイン住宅の分野でもシラス壁が選ばれる理由です。
デザイナーや建築士のあいだでは、「素材感と空気感の両方をデザインできる壁」として注目されています。
スタイル別・おすすめカラー&仕上げ
| スタイル | おすすめ色味 | 仕上げの質感 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 北欧 | アイボリー、ライトグレー | フラット仕上げ | やさしい光と調和する明るさ |
| 和モダン | ベージュ、スモーキーグレー | ラフ仕上げ | 木や畳との相性抜群。落ち着いた印象 |
| インダストリアル | ダークグレー、アッシュ系 | コテむら仕上げ | 照明の陰影が映える“深み”のある壁面 |
このように、色と塗り方の選び方次第で、シラス壁はどんなテイストにも表情を変えてくれます。
まとめ:スタイルを選ばない“自然素材の懐の深さ”
北欧のやさしさ、和モダンの静けさ、インダストリアルの力強さ。
一見まったく違うスタイルのようですが、どれも「素材の質感」を大切にしているという共通点があります。
だからこそ、自然由来の素材・シラス壁が調和するのです。
家のデザインに流行はあっても、「空気の心地よさ」や「自然のあたたかみ」はいつの時代も変わりません。
それを形にしてくれるのが、シラス壁という素材。
スタイルにとらわれず、“家族の暮らしにフィットする美しさ”を求める人にこそ、この壁をおすすめしたいと思います。
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