自然素材で防音対策?シラス壁が音を吸収するメカニズム
はじめに
「うるさい!」
「外の車の音が気になる…」
「子どもがドタバタ走って、階下の人に怒られないか心配」
こんな“音のストレス”、あなたの家にもありませんか?
最近は、家の中でも防音対策が注目されています。特にマンションや子育て世代の家庭では、「静かに暮らしたい」「音でご近所トラブルになりたくない」といった声が多く聞かれます。
でも、「防音=人工的な素材」と思っていませんか?
実は、自然素材の中にも、音を吸収してくれる優秀なものがあるんです。それが、「シラス壁」です。
今回は、「シラス壁が音を吸収するって本当?」「どうして自然素材なのに防音効果があるの?」という疑問に、わかりやすくお答えしていきます。
そもそも「音」ってなに?
防音の話をする前に、そもそも“音”って何なのかをちょっとだけおさらいしましょう。
音は、「空気のふるえ(振動)」です。
たとえば、声を出すと、のどがふるえて、そのふるえが空気を伝わって、耳まで届きます。太鼓をたたいたときに、ドンッという音が出るのも、太鼓の膜がふるえて空気を動かしているから。
この空気のふるえが、壁や床に伝わることで、音は家の中を進んでいくのです。
「音がうるさい」には2種類ある
音の問題は、大きく分けて2つあります。
1. 空気を通って伝わる音(空気音)
これは、テレビの音や人の話し声、車の音など。空気をふるわせて、壁をすり抜けて聞こえてきます。
2. 物を通って伝わる音(固体音)
足音やドアの開け閉め、イスを引く音などがこれに当たります。床や壁に直接振動が伝わって、そのまま響いてしまいます。
今回注目するシラス壁が得意なのは、「空気音」の吸収です。人の声や生活音、外の騒音をやわらげてくれる効果があるんです。
シラス壁ってどんな素材?
シラス壁は、「シラス」と呼ばれる火山噴出物を原料にした、自然素材100%の塗り壁です。
火山の噴火でふき出した火砕流が、数万年かけて、自然の中で細かく砕かれてできたシラス。この素材を使って作られた壁は、見た目にもやさしく、調湿・脱臭・抗菌など、たくさんの機能を持っています。
でも実は、これだけじゃないんです。
音にも、静かに効いてくれるという、知る人ぞ知るメリットがあります。
どうして自然素材なのに防音できるの?
「コンクリートとか防音パネルならわかるけど、なんで土の壁が音を吸収するの?」
そんなふうに思う人もいるかもしれません。
ここからは、シラス壁の“音を吸収する仕組み”を、わかりやすく解説していきます。
1. 多孔質構造が音を吸収する
シラス壁に含まれる「シラス」の最大の特長は、目に見えないほど小さな“すき間”が無数にあること。これを「多孔質(たこうしつ)」といいます。
この細かいすき間が、音のふるえ(振動)を中に取り込み、内部でゆるやかに減衰させてくれます。
つまり、音が壁にぶつかると、そのエネルギーが壁の中に入り込んで、どんどん小さくなっていくんですね。音の“逃げ場”を作ってくれるのが、シラス壁のすごいところ。
この働きは、吸音材や防音パネルととてもよく似ていますが、自然素材だけでこれを実現しているのはシラス壁ならではです。
2. 表面のザラザラが音の反射をやわらげる
シラス壁は、ビニールクロスのようにツルツルではなく、ややザラザラした質感です。
このデコボコした表面が、音を「まっすぐ跳ね返さず」、いろんな方向に分散させる役割を果たします。これを「拡散効果」と呼びます。
たとえば、声が壁に当たって「パーン!」と響くような感じ、ありますよね?
それが、シラス壁だとやわらかくなり、耳にキーンとこない音になります。
3. 室内の「響き」もやさしくなる
木造の家やリビングなど、広い空間では声や音が「反響(エコー)」して聞こえることがあります。
シラス壁は、その反響をやさしく吸収するため、音の“残り”が少なくなるんです。テレビの音が聞き取りやすくなったり、音楽が心地よく感じられたりするのは、シラス壁ならではの効果です。
防音効果はどのくらい?一般壁材と比べてみよう
では、シラス壁と一般的な壁材では、どれくらいの違いがあるのでしょうか?
以下は、音の吸収性能を比較した例です(あくまで参考値です)。
壁材の種類 | 吸音効果(例) | 特徴 |
---|---|---|
ビニールクロス | △ 音をはね返しやすい | 音が反響しやすく、耳ざわりに感じることも |
珪藻土 | ○ 一定の吸音効果あり | 製品によって差がある |
シラス壁 | ◎ 吸音性が高く、響きを抑える | ナチュラルな音環境を作れる |
「防音素材」は工業製品だけじゃない
最近では、防音マットや吸音パネルといった工業製品もたくさん登場しています。もちろん、それらを活用するのも良い方法です。
でも、そういった製品は、
- 化学素材を多く使っている
- 長期間使うと劣化する
- 接着剤などに化学物質が含まれていることもある
といった点に注意が必要です。
シラス壁は、一度施工すれば長く使えて、しかも化学物質ゼロ。子どもや高齢の家族がいる家庭にも安心ですし、ペットにもやさしい空間をつくることができます。
実際に取り入れている人の声
「2階の子ども部屋にシラス壁を使ったら、階下のテレビの音が気にならなくなった」
「読書が好きなので、静かで落ち着いた空間にしたくてリビングにシラス壁を採用。音が反響せず、話し声もやさしく聞こえるようになった」
「ペットの鳴き声が響きすぎて困っていたけれど、シラス壁にしてから、外への音漏れも少し減った気がする」
こういった声からも、生活の中での“音の質”が変わったことが感じられます。
シラス壁は“耳にやさしい”壁
音は目に見えませんが、毎日のストレスや心の状態に大きく影響します。
だからこそ、「音を吸収する素材」は、見た目以上に暮らしの質を変えてくれます。
では実際に、シラス壁の防音性能はどれくらいなのでしょうか?
音響測定による客観的なデータをもとに、その効果を見てみましょう。
高千穂シラス株式会社が行った実験によると、
500Hz〜1000Hz(人の声や生活音の中心となる周波数帯)で、吸音率が0.6〜0.7を記録。これは、一般的なビニールクロス壁(吸音率0.05〜0.1)と比べて約6〜10倍もの音を吸収する力があることを示しています。
さらに、実際にシラス壁を施工した6畳ほどの部屋で測定された残響時間(音が空間内で響いて残る時間)は、
- 一般的なビニールクロス壁の部屋:約0.7秒
- シラス壁を施工した部屋:約0.4秒
と、音の反響が約40%抑えられるという結果も出ています。
この「響かない」環境は、日常会話の聞き取りやすさや、読書・仕事・勉強に集中しやすい空間づくりに、大きく役立ちます。
しかも、これらの防音性能が化学加工なしの自然素材だけで実現しているという点が、シラス壁のすごいところです。
まとめ
音の質は、目に見えないけれど、住まいの快適さを大きく左右する要素です。
人工素材の防音パネルも悪くありませんが、自然素材のシラス壁で防音できるという事実は、今後の家づくりにおいて大きな選択肢になるはずです。
静けさを“道具”で加えるのではなく、“素材の力”で育てる。
そんな、心地よい暮らしを叶える住まいづくりを、あなたも考えてみませんか?
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