シラス壁ができるまで!製造プロセスとその秘密

2025/06/02(月) シラス壁コラム

 

はじめに

近ごろ、健康志向や自然素材を取り入れた暮らしが注目されています。その中でひそかに人気を集めているのが「シラス壁」。呼吸する壁とも言われ、室内の空気をきれいに保ち、快適な住環境をつくる手助けをしてくれるんです。

でも、シラス壁ってそもそも何?どうやって作られているの?そんな疑問を持っている方のために、今回は「シラス壁ができるまで」の製造プロセスと、その魅力の秘密をわかりやすく紹介します。


シラスってどんな素材?

シラス」とは、九州地方に堆積している火砕流噴出物のうち、主に約2.7万年前の姶良カルデラ(現在の錦江湾奥部)の噴火によって発生した入り戸火砕流を起源とする、白色~灰白色で砂状のものを総じて「シラス」と呼びます。

シラスは一般的な土壌に比べ固結性が弱く、透水性が高いため農業(特に稲作)には不向きで、大雨の際には侵食と崩壊により土砂災害を引き起こすことから、これまで地元住民からは「厄介もの」と呼ばれてきました。しかし近年、さまざまな機能が見出され、素材としての可能性が見直されてきています。


なぜシラスが壁材になるの?

シラスの粒はとても細かく、表面に無数の小さな穴があいています。この微細な構造のおかげで、空気中の湿気やニオイ、さらには有害物質まで吸着することができます。これが「呼吸する壁」と呼ばれる理由です。

しかも、化学成分を含まない天然素材なので、小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心。環境にも体にもやさしい壁材として注目されています。。


シラス壁ができるまでの5ステップ

それでは、シラス壁がどのようにして作られるのか、順を追って見ていきましょう。

ステップ1:原料となるシラスの採取

まず最初は、原料となるシラスを採るところから始まります。

シラスは火山噴出物なので、山の斜面や地層に広く分布しています。その中でも、建材に適した粒の細かさや性質をもったシラス層を探し、重機を使って必要な量だけを採取します。

採取場所や地層によって、色味や粒の状態が微妙に違うため、品質を見極める目も重要。採れたシラスはトラックに積まれ、工場へと運ばれていきます。

ステップ2:ふるい分けと選別

工場に到着したシラスは、そのままでは使えません。まずは、ふるいにかけて軽石や不純物を取り除き、製品として使える品質のシラスだけを選別します。

ステップ3:天日乾燥による水分除去

採取したシラスは、天日干しによって自然乾燥させます。この工程では、人工的な熱源を使用せず、太陽の力で水分を取り除くため、エネルギー消費を抑えることができます。

ステップ4:粉砕不要のローテク製法

シラスはもともと細かい粒子状であるため、粉砕の工程が不要です。また、製造工程ではできるだけ機械に頼らず、人の手を使うローテク製法を採用しています。これにより、大きなエネルギー消費を避け、地球環境への負荷を軽減しています。

乾燥・選別されたシラスは、必要に応じて他の天然素材と混合され、内装用や外装用の仕上げ材として製品化されます

ステップ5:地域との共生を図る生産システム

高千穂シラス株式会社では、地域の農家と連携し、農作業の合間にシラスの加工や袋詰めを行う「新二毛作の会」という独自の生産委託システムを導入しています。これにより、地域の雇用創出と自然環境の保全を両立させています。


シラス壁が選ばれる理由

ここまで、製造の流れを見てきましたが、「シラス壁って、なんでそんなに人気なの?」と思った方もいるかもしれません。そこで、あらためてシラス壁のメリットをまとめてみましょう。

調湿・脱臭にすぐれている

シラスの細かい粒には、湿気やニオイ、有害物質を吸い取る力があります。だから、夏はサラッと、冬はジメジメしない快適な空気を保つことができます。

有害物質ゼロの安心素材

接着剤や化学塗料などを使わないため、ホルムアルデヒドなどの有害物質がほとんど出ません。小さなお子さんやペットがいる家にも安心して使えます。

静電気が起きにくく、ホコリもつきにくい

ビニールクロスなどの壁材は静電気を帯びやすく、ホコリがくっついてしまうことがあります。でも、シラス壁は静電気が起きにくいため、キレイな状態が長持ちします。

デザイン性も自由自在

仕上げ方法やシラスの粒の粗さによって、見た目の表情ががらりと変わるのも魅力の一つ。素朴でナチュラルな雰囲気から、モダンでスタイリッシュな仕上がりまで、好みに合わせたデザインが可能です。


まとめ:暮らしに自然を取り入れるという選択

シラス壁は、単なる壁材ではありません。火山が生んだ大地の恵みと、人の手による丁寧な仕事が合わさって生まれた、まさに「呼吸する壁」。自然素材ならではの心地よさを、ぜひ感じてみてください。

日々の空気や空間が、少しでも快適に、そして健やかになるなら——。それは、暮らしの質そのものが変わるということなのかもしれません。


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