施工事例

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山陰海岸国立公園鳥取砂丘ビジターセンター

鳥取県鳥取市

国立公園や国の天然記念物に指定され、多くの人々が訪れる観光地・鳥取砂丘の前に「山陰海岸国立公園 鳥取砂丘ビジターセンター」が2018年10月26日にオープンしました。センターは鳥取砂丘の東側にある観光客の玄関口になる駐車場に隣接する木造2階建で、延床面積は920平方メートルです。約7億円を投じて整備され、環境省・鳥取県・鳥取市が協力して設立した管理運営協議会が管理・運営をしています。


こちらのセンターでは5つのゾーンを通じて、砂丘の動植物・歴史・人の営みなどを深く知ることが出来る施設です。中でも、センターの見どころの一つが2階にある半円状のミニシアター「すなくら」です。ドローンなどを使って1年間かけて撮影した鳥取砂丘の風景を約7分間にまとめて上映しています。季節や朝昼晩で変化する景色を楽しめるほか、空から俯瞰したり砂丘を這ったりするような映像もあり、自分が鳥や昆虫になった気分にもなることが出来ます。
展示スペース以外にも、観光案内の窓口、休憩スペースなども完備され、来訪者の憩いの場としても利用されています。


その憩いの場を実現させたのが、鳥取県鳥取市にある塚田隆建築研究所の塚田 隆氏です。塚田氏曰く、鳥取砂丘は昔因幡の国(鳥取県東部)と但馬の国(兵庫県北部)を結ぶ但馬往来という街道があり、景観は宿場町をイメージして設計。また、隣接している砂丘事務所・公衆トイレと一体化させるために、内と外を繋げる中間領域として、鳥取市南部の山間地の若桜町で見られるカリヤと言う、道路に突き出したひさしを設けています。


そのカリヤからも見える外壁材に「スーパー白洲そとん壁W」をご採用いただきました。ご採用いただいた理由として、自然素材であることや風や砂でボロボロにならない強度、鳥取砂丘の雰囲気に近いことだと塚田氏。センターを管理されている環境省浦富自然保護官様からも、鳥取砂丘の風合いと合っていますとお話してくださいました。

スーパーシラスそとん壁W(色番:W-122)

建物内部は、建物面積が限られている中で、砂丘に圧迫間を与えないよう、高さを抑える必要があったため、設計の自由度が高いサミットHR工法が取り入れられています。また、半地下やスキップフロアを設け、スペースを確保することで、展示スペースや休憩スペースなどに圧迫間を与えない、大空間が生み出されていました。

木材は鳥取県産の杉

鳥取砂丘は、古砂丘の上に阿蘇山、そして大山の噴火活動で飛来した火山灰が積もり、さらにその後遠く九州南部の鹿児島で噴火した姶良火山からの火山灰と、新砂丘で形成されているそうです。それらの火山灰層は砂丘の成立ちを知るうえで、貴重な地層となるそうです。
高千穂シラスのシラスも南九州の火山帯。こんなところに共通点がありました。


昔からの宿場町やカリヤを再現し、古き良きところは残しながらも、塚田氏の巧みな技によって、圧迫感がなく、訪れる人がゆっくり、快適に過ごすことの出来る施設となっていました。