遠州栄光教会 三方原礼拝堂
静岡県浜松市
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日本初のホスピス開設など、積極的に医療、保健、福祉に貢献してきた聖隷グループ諸施設。その聖隷の営みを生み出す信仰を受け継いできた教会が現在の遠州栄光教会です。
遠州栄光教会 三方原礼拝堂の外装にスーパー白洲そとん壁Wが採用されています。
2007年11月、遠州栄光教会 三方原礼拝堂の1年以上に及ぶ建替工事が完了し、新会堂が竣工となりました。
新会堂の建物は、木造の礼拝堂と鉄骨造の付属棟(小礼拝堂・集会室・事務室他)から構成されています。
日本基督教団 遠州栄光教会 牧師 野村 稔氏に話を伺いました。
「礼拝堂部分は完全に木造です。
コンセプトを申しますと、礼拝堂部分は数百年もつようにしたいと考えました。そのため最新のものにはしたくありませんでした。できるだけ普遍的なものにしたいと思いました。
そして、この教会が大切にしているものを表現できるようなものにしたい、そういう意味で和風になりました。その話の流れで、どことなく日本らしさ、日本の中の教会ということを感じてもらえるような外装を希望し、設計の一粒社ヴォーリズ建築事務所さんがシラス壁を提案してくれました。」
シラス壁は100%自然素材の本物の材料であるため、風雨や紫外線、厳しい自然環境にも劣化しない耐久性があります。
さらに、美しく温かみのある風合いは、この礼拝堂が求める“日本らしさ”の一端を担っています。
上:新会堂全景。全体に高さが抑えられているため、親しみやすさを感じることができる。
下:付属棟。
礼拝堂には珍しい“日本らしさ”についてお聞きしました。
「戦後、この浜松に来たドイツ人修道女のひとりが、日本にドイツの教会をつくってはいけない、日本には日本の教会をつくらなければいけないということをおっしゃったそうです。そのため、当時の教会(建替前の教会)に和の趣きが取り入れられました。」
この教会が大切にしている想いは、新会堂にもしっかりと受け継がれています。
「設計は、一粒社ヴォーリズ建築事務所にお願いしました。教会建築についての信頼と実績といったら言葉が足りませんが・・・。一粒社ヴォーリズ建築事務所を設立したヴォーリズ氏は、長年思い詰めていた建築家になる夢をいったんは捨て、現在の滋賀県近江八幡市に宣教師として来日しました。のちに近江兄弟社の礎を築き、生涯にわたり医療や教育・文化事業などにおいて社会貢献を果たしました。ヴォーリズ氏はとっくに亡くなっていますが、われわれと同じ志を持っており、信頼といいますか心通じるものを感じています。」
新会堂では、和の雰囲気を感じることができます、自然で居心地のよい温かみのある空間となりました。
左:礼拝堂内部。格子状の窓からこの教会に受け継がれる和の趣が感じられる。左右の小さく長いステンドグラスは視線を上げる意図でつくられている。
右上:付属棟にある小礼拝堂。以前の礼拝堂をそのまま再現しているため、大礼拝堂よりもさらに和を感じることができる。正面のアンバランスさは、床の間のイメージが取り入れられたのではとのこと。十字架は掛け軸の位置に存在している。
右下:付属棟内通路。機能的な動線。
礼拝堂の椅子に奥深く腰掛けてくださいという野村牧師。
「椅子に座ると自然と前を向くことができるようにという思いで、礼拝堂をつくりました。前を向くと自然と十字架が目に入ります。さらに目線も上に向くようになっています。
人間誰でもうつむき加減でいてしまうところを、目線を上に向け、自分自身や目に見える平面状の世界がすべてではないということを感じることのできる礼拝堂になることを願いました。」
夜は照明により精美な雰囲気になる。塀はなく、開かれた教会となっている。
スーパー白洲そとん壁W W-121 かき落とし仕上げ
遠州栄光教会の設立は、1923年の日本基督教会濱松伝道所の開設にまでさかのぼります。
教会の中で信仰を養われた青年たちが現在の聖隷福祉事業団を生み出し、後に十字の園や小羊学園、聖隷学園などの聖隷グループの諸施設を誕生させてきました。
1984年には住吉と三方原の2つの礼拝集団を持つ遠州栄光教会が新しくスタートし、現在は、地域伝道に携わると共に、三方原地区、住吉地区(共に静岡県浜松市)の聖隷病院や施設において礼拝等の多くの行事に携わっています。さらに、日本各地の聖隷グループのために祈り続けています。
愛の業を生み出す力強い信仰を受け継いで、時代を超えかつ時代に対応した教会の営みを求め続けていきたいと願う遠州栄光教会。
様々な社会的責務を担いながら、これからもこの地で人々を愛し、見守り続けていくことでしょう。
遠州栄光教会 三方原礼拝堂
431-1304 浜松市北区細江町中川7220-30
TEL:053-437-5632
URL:http://www.geocities.jp/enshueikou/