30年後も安心!シラス壁の耐久性を徹底解説

2025/11/07(金) シラス壁コラム

(施工:ひだまりほーむ 株式会社鷲見製材 ※外壁用シラス壁「スーパー白洲そとん壁W」採用)

はじめに

家を建てるとき、できるだけ「長く快適に暮らしたい」と思うのは、誰でも同じですよね。
でも実際には、年月が経つと壁が汚れたり、ヒビが入ったりして、思ったよりも早く手入れが必要になることもあります。

そんな中で、最近注目を集めているのが「シラス壁」。
自然素材でできていて、見た目もやさしく、空気をきれいにしてくれると言われています。
けれど、気になるのは「シラス壁って本当に長持ちするの?」というところですよね。

この記事では、専門用語をできるだけ使わずに、「シラス壁の耐久性」をわかりやすく、そしてちょっと深く掘り下げて解説していきます。


シラス壁ってどんな壁?

まず、シラス壁の基本から。

「シラス」とは、九州地方を中心に広がる火砕流の堆積物。
火山の熱と圧力によって生まれた、細かく軽い土のような天然素材です。
このシラスを原料にした左官仕上げの壁材が「シラス壁」。

日本では昔から、土壁や漆喰(しっくい)などの自然素材の壁が使われてきました。
シラス壁もその一つで、「自然に戻る素材」として近年また人気が高まっています。

 

シラス壁の特徴をざっくり言うと…

シラス壁には、ほかの壁材にはない特徴がいくつもあります。
ポイントをわかりやすくまとめると、こんな感じです。

  1. 通気性が良く、湿気を調整してくれる
  2. 有害物質を吸着して、室内の空気をきれいに保つ
  3. 静電気が起きにくく、ホコリがつきにくい
  4. 燃えにくい(不燃性)ので火事にも強い
  5. 化学物質を使わないため、体にもやさしい

つまり「呼吸する壁」なんですね。
湿気を吸ったり吐いたりしてくれるので、梅雨でもカビが生えにくく、冬も結露しにくい。
しかも、素材自体が自然の力で空気をきれいにしてくれる。
これが多くの人が惹かれる理由なんです。


では、本題! シラス壁の耐久性は本当にすごい?

「自然素材の壁」と聞くと、「やわらかくて、すぐボロボロになるのでは?」と思う人も多いでしょう。
でも実は、シラス壁は非常に強くて長持ちする素材なんです。

その理由を、もう少し具体的に見ていきましょう。

① シラスの粒子は「セラミック」に近い

シラスの原料は、火山活動でできた高温で焼かれた天然の鉱物です。
つまり、もともと半分「焼き物」のような性質を持っています。だから、紫外線や熱、風雨にとても強いのです。

普通の塗り壁やビニールクロスは、日光で色あせたり、湿気でカビが生えたりします。
でもシラス壁は、自然の鉱物そのもの。30年経っても「素材が劣化してボロボロになる」ということはほとんどありません。

② 化学接着剤を使わないから、劣化しにくい

多くの建材は、化学のり(接着剤)で固めて作られています。
この接着剤は、年月が経つと劣化してヒビ割れたり、はがれたりする原因になります。

一方シラス壁は、化学のりを使わずに自然素材だけで固めるため、化学変化による劣化がほとんどありません。
時間が経つほどに落ち着いた風合いになり、味わいが出るのも魅力のひとつです。

③ 通気性がいいから、カビ・結露に強い

壁の中に湿気がこもると、見えない部分でカビが生えたり、内部が腐ったりします。これは建物の寿命を大きく縮める原因です。

しかしシラス壁は、「呼吸する素材」。
湿気を吸収して、乾燥すると吐き出す性質があるので、壁の中がいつもサラッとした状態に保たれます。
結果的に、建物全体の寿命を延ばすことにもつながるのです。


実際に25年以上経った家ではどうなっている?

「理屈はわかったけど、実際どうなの?」と思う方も多いでしょう。
そこで、実際の例を見てみます。

シラス壁が発売されてから25年以上。発売当時に建てたシラス壁の家が今もたくさん残っています。
多くの家では、大きなヒビやはがれはほとんど見られず、まだ十分にきれいです。
一部の汚れはありますが、それも軽く表面を削ったり、上塗りするだけでリフレッシュできます。

一般的なビニールクロスや合成塗料の壁は、10〜15年で張り替えが必要です。
それに比べると、シラス壁は2〜3倍長持ちするといわれています。


メンテナンスはほとんど不要?

ここがまたシラス壁のうれしいポイント。基本的に、特別なメンテナンスはほとんどいりません

汚れがついても、消しゴムやメラニンスポンジで軽くこすったり、専用洗浄剤で落とせます。
もしそれでも取れない場合は、その部分だけ薄く塗り直すことも可能です。全体を塗り替える必要はないので、費用も安く済みます。


他の壁材との耐久性比較

壁の種類 耐久年数の目安 主な劣化原因 メンテナンスの手間
ビニールクロス 約10〜15年 日焼け・はがれ・汚れ 張り替えが必要
漆喰(しっくい) 約20〜30年 ヒビ・汚れ 定期的な補修
珪藻土(けいそうど) 約20年 水染み・欠け 乾拭き・再塗装
シラス壁 30年以上 ほとんどなし 部分補修でOK

こうして比べてみると、シラス壁の耐久性はかなり優れていることがわかります。
しかも、塗り替えサイクルが長い分、トータルの維持費も安くなるんです。


シラス壁が長持ちするためのコツ

いくら素材が良くても、施工(塗り方)や使い方によって寿命は変わります。
せっかくの自然素材を長く楽しむために、次のポイントを意識しておきましょう。

  1. 信頼できる職人さんに依頼する
     塗り壁は、職人の腕で仕上がりが大きく変わります。経験のある左官職人さんを選びましょう。
  2. 下地をしっかり作る
     壁の下にある「下地」が弱いと、せっかくのシラス壁もヒビが入りやすくなります。
  3. 乾燥を急がせない
     施工後はしっかり乾燥させることが大切です。急に乾かすとヒビが入ることがあります。
  4. 水がかかる場所は避ける
     外壁にも使えますが、汚れがつきにくくするには、軒をしっかり出すなど建物のデザインに工夫を。

「30年後も安心」と言える理由

シラス壁の最大の魅力は、「時間が経っても、劣化ではなく“風合い”が出る」ことです。
多くの人工素材は、年月とともに汚れたり変色したりして「古びて見える」ようになります。
でもシラス壁は、自然の土や石のように、使い込むほどに味が出る。まるで、古民家やお寺の土壁が年月を経ても美しいのと同じです。

これこそ、シラス壁が「30年後も安心」と言われる理由です。


まとめ:自然と共に生きる家づくり

最後にもう一度、シラス壁の魅力をまとめましょう。

  • 自然素材で、体にも環境にもやさしい
  • 湿気やカビに強く、建物が長持ちする
  • 化学のりを使わないので、劣化しにくい
  • 30年以上使っても風合いが保たれる
  • メンテナンスが簡単で、コスパも良い

シラス壁は、見た目が美しいだけでなく、「長く住み続けられる家」を支える素材です。
「子どもが大人になっても、同じ家で快適に暮らしてほしい」そんな想いを形にしたい人に、ぴったりの壁材と言えるでしょう。

スタイルにとらわれず、“家族の暮らしにフィットする美しさ”を求める人にこそ、この壁をおすすめしたいと思います。