住み替えたくなる家・ずっと住みたい家の差

2026/04/22(水) シラス壁コラム

施工・画像提供:有限会社創建工房(大阪府)

はじめに

家は、一生に何度も建てるものではありません。
だからこそ多くの人が、「長く住める家にしたい」と考えます。

けれど実際には、数年から十数年で「なんとなく住みにくい」と感じたり、「できれば住み替えたい」と思うようになるケースも少なくありません。

一方で、長い時間が経っても、
「この家にいて落ち着く」
「やっぱりこの家がいい」
と感じる家もあります。

この違いは、どこから生まれるのでしょうか。

今回は、「住み替えたくなる家」と「ずっと住みたい家」の違いを、家づくりの視点から考えてみます。


住み始めたときの満足は、意外と長く続かない

家づくりでは、完成したときの印象がとても強く残ります。

  • 新しくてきれい
  • 思い通りの間取り
  • デザインが気に入っている

こうした満足感は、とても大きなものです。
ただ、この「完成直後の満足」は、時間とともに少しずつ変わっていきます。
暮らしが始まると、

  • 季節の変化
  • 家族の生活リズム
  • 日々の使い勝手

といった現実が見えてきます。
その中で、「なんとなく気になること」が少しずつ積み重なっていくと、家への印象も変わっていきます。


「なんとなくの不満」が積み重なると、住み替えたくなる

住み替えを考えるきっかけは、大きな不満とは限りません。
むしろ多くの場合は、

  • 部屋の空気がこもる感じがする
  • においが残りやすい
  • 壁や外壁の汚れが気になってくる
  • 手入れが思ったより大変

といった、小さな違和感です。
一つひとつは些細でも、毎日の生活の中で繰り返されると、少しずつストレスになっていきます。
そして気がつくと、

「もっと快適な家に住みたい」
という気持ちが生まれてきます。

これは、間取りや広さの問題ではなく、日々の暮らしの感覚に関わる部分であることが多いのです。


ずっと住みたい家は「変化に強い」

一方で、長く住み続けたいと感じる家には、共通点があります。
それは、時間の変化に無理なくなじむことです。
たとえば、

  • 季節が変わっても過ごしやすい
  • 家族構成が変わっても使いにくさを感じにくい
  • 年数が経っても大きな不満が出にくい

こうした家は、「特別に何かがすごい」というより、大きなストレスが生まれにくい状態が続くのが特徴です。
この違いは、完成時にはなかなか見えません。暮らしの中で、少しずつ感じられるものです。


見落とされやすい「壁」と「外装」の影響

住み心地の違いを生む要素はいくつもありますが、その中でも意外と見落とされやすいのが「壁」と「外装」です。
壁は、部屋の中でもっとも広い面積を占めています。つまり、空気や湿気、においなどと常に関わっている場所です。

また外壁は、

  • 紫外線

といった外の環境から、家を守り続けています。
こうした部分は、住み始めた直後には気になりません。
しかし時間が経つにつれて、

  • 室内の空気の感じ方
  • 外壁の劣化や汚れ
  • メンテナンスの手間

といった形で、少しずつ差が出てきます。


「素材の違い」が暮らしの質に影響する

壁や外装に使われる素材には、さまざまな種類があります。
そして、その素材によって、

  • 劣化のしやすさ
  • 手入れのしやすさ
  • 空気との関わり方

などが変わってきます。

住み始めたときには同じように見えても、数年、十数年と時間が経つ中で、違いが現れてきます。
だからこそ、家づくりの現場では、見た目だけでなく、素材が持っている性質も重視されています。


自然素材という考え方

最近では、素材そのものの力を活かそうとする考え方も広がっています。
そのひとつが、自然素材です。
自然素材は、人工的につくられた材料とは違い、もともとの性質を活かして使われます。
そのため、

  • 環境の変化にゆるやかに対応する
  • 経年変化が大きくなりすぎない

といった特徴を持つものもあります。
もちろん、すべての自然素材が同じではありませんが、時間の変化に寄り添う素材として注目されています。


九州南部の大地から生まれた「シラス」

自然素材の中でも、特徴的なもののひとつに「シラス」があります。

シラスは、九州南部に広く分布している火砕流堆積物で、約2万7000年前の姶良カルデラの大噴火によって生まれた自然素材です。

とても細かい粒でできていて、その中には、目に見えないほど小さな穴が無数にあります。
この小さな穴が、いくつもの働きを生み出します。


小さな穴がつくる「ゆるやかな快適さ」

シラスの特徴である小さな穴は、空気や水分と関わる性質を持っています。
湿度が高いときには水分を取り込み、乾燥しているときには少しずつ放出することで、室内環境の変化をゆるやかにします。
また、におい成分を吸着する働きもあるとされています。

こうした性質は、劇的な変化を生むものではありません。
ですが、日々の暮らしの中で、

「なんとなく過ごしやすい」
「空気がすっきりしている」

といった感覚につながることがあります。
この“なんとなく”の積み重ねが、住み心地に影響していきます。


内装としてのシラス壁

室内に使われるシラス壁は、やわらかな風合いを持っています。
光をやさしく受け止める質感があり、落ち着いた空間をつくりやすいのが特徴です。
また、無機質の素材であるため、

  • 燃えにくい
  • 静電気が起きにくい

といった性質もあります。
こうした特徴は、日々の安心や手入れのしやすさにもつながります。


外壁としてのシラス壁

シラスは、外壁として使われることもあります。
外壁に求められるのは、

  • 雨風への耐久性
  • 紫外線への強さ
  • 火に対する安全性

といった点です。
無機質の素材は燃えにくい性質を持ち、外部環境の影響も受けにくいため、長期的な安定性に関わる部分として考えられています。
外壁は家を守る役割を担うため、こうした性質は重要なポイントになります。


住み続けたくなる家は「目立たない良さ」が続く

ずっと住みたいと感じる家には、共通点があります。
それは、

大きな不満が出にくいこと

です。

特別に何かが目立つわけではなくても、

  • 空気が気にならない
  • 手入れに無理がない
  • 安心して暮らせる

こうした状態が続くことで、「この家がいい」と感じられるようになります。
これは、設備だけでつくれるものではありません。
素材や構造といった、見えない部分の積み重ねによって生まれるものです。


まとめ|家づくりは「時間との付き合い方」を考えること

家は、完成した瞬間が一番きれいです。
ですが、本当に大切なのは、そのあとに続く時間です。
数年後、十年後、さらにその先。
そのときにどんな状態でいられるかが、住み心地に大きく影響します。

だからこそ、家づくりでは、

  • 見た目
  • 間取り

だけでなく、

  • 素材の性質
  • 耐久性
  • 安全性

にも目を向けることが大切です。
住み替えたくなる家と、ずっと住みたい家の差は、完成したときではなく、時間の中で少しずつ現れていきます。

これから家づくりを考えるときは、ぜひ「今」だけでなく、
「これからの暮らし」をイメージしながら選んでみてください。

その積み重ねが、長く心地よく暮らせる家につながっていくはずです。


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