子どもが床で寝転んでも安心な家づくりの条件

2026/02/23(月) シラス壁コラム

はじめに

小さな子どもは、家の中でいちばん低い場所で暮らしています。
ハイハイをし、床に寝転び、おもちゃを広げ、ときにはそのまま眠ってしまう。
大人は椅子やソファに座りますが、子どもの目線はいつも「床の高さ」です。

だからこそ、子育て世代の家づくりでは「床」をどう考えるかがとても大切になります。

無垢材がいいのか。やわらかい床がいいのか。
傷がつきにくい素材がいいのか。

もちろん、それも大事です。けれど本当に安心できる家は、床の素材だけでは決まりません。

床の近くにある空気。
湿気のたまり方。
ほこりやにおいの残り方。
冬の冷え方。

目に見えない環境こそが、子どもの体に大きく関わっています。

この記事では、「子どもが床で寝転んでも安心できる家」をテーマに、素材選びや設計の考え方を整理しながら、その選択肢のひとつとしてシラス壁についても触れていきます。


床の安心は「空気」から始まる

子どもが床に寝転ぶとき、顔は床からわずか20〜30センチほどの高さになります。
つまり、床付近の空気を直接吸い込んでいるということです。

空気は目に見えませんが、室内の環境は上下で少しずつ違います。
湿気は下にたまりやすく、冷たい空気も下に集まりやすい性質があります。

湿度が高すぎると、ダニやカビが増えやすくなります。
乾燥しすぎると、ほこりが舞いやすくなります。

床材をどれだけこだわって選んでも、空気環境が不安定であれば、安心とは言えません。
だから「床の安心」は、実は空気づくりから始まるのです。


湿気をどうコントロールするか

日本の気候は湿度が高く、梅雨や夏場は特に室内が蒸しやすくなります。
湿気がこもると、床下や壁の内部で結露が起きることがあります。それが長く続けば、カビや腐朽菌の原因になります。
子どもが寝転ぶ床のすぐ下で、目に見えない変化が起きている可能性もあるのです。

そこで大切なのが、「湿気を閉じ込めない家づくり」です。
断熱や気密を高めることは大事ですが、それと同時に湿気の逃げ道も考えなければなりません。
壁や外装に透湿性のある素材を使うことで、内部にたまった水分をゆっくり外へ逃がすことができます。

その選択肢のひとつが、シラスを原料とした塗り壁です。


シラスという自然素材

「シラス」とは、九州地方に堆積している火災流噴出物のうち、主に約2.7万年前の姶良カルデラの噴火によって発生した入戸火砕流を起源とする、白色~白灰色で砂状の自然素材です。

このシラスを使った塗り壁材は、

・湿気を吸ったり吐いたりする性質
・におい成分を吸着する性質
・燃えにくい性質

などを持っています。
化学的に合成されたものではなく、自然由来の無機素材であることも特徴のひとつです。
壁材そのものが呼吸するように働くことで、室内の湿度が急激に変化しにくくなります。

これは「魔法の効果」ではありません。けれど、毎日の積み重ねの中で、空気を穏やかに整える働きをしてくれます。


化学物質をできるだけ減らすという視点

現代の住宅では、合板、接着剤、ビニールクロスなど、多くの工業製品が使われています。
安全基準は守られていますが、微量の揮発性物質を放出する素材もあります。
大人にとっては問題がなくても、体の小さな子どもは空気の影響を受けやすいといわれています。
特に床付近は空気が滞留しやすい場所です。

シラス壁は無機質で、有機溶剤をほとんど含みません。
揮発性の化学物質を出しにくい点も、自然素材として評価されています。
「絶対に安全」という言い方はできませんが、素材を選ぶときに“余計なものを減らす”という考え方は、子育て世代にとって一つの安心材料になります。


結露を防ぐことが、床の未来を守る

冬場の結露は、窓だけの問題ではありません。
壁の内部で起きる内部結露は、目に見えない分だけやっかいです。

内部に水分がたまり続けると、木材が傷み、やがて床の耐久性にも影響します。
シラス壁は透湿性が高いため、壁内部にこもった湿気を外へ逃がす助けになります。
これにより、結露のリスクを抑える効果が期待できます。

床が安心かどうかは、表面の仕上げだけで決まるわけではありません。その下にある構造体が健やかであることが、長期的な安心につながります。


断熱とのバランスが重要

ただし、シラス壁だけで家の環境が整うわけではありません。
断熱材の性能、気密の取り方、床下の設計。それらがかみ合って初めて、室内環境は安定します。

いくら壁が透湿性を持っていても、断熱が不足していれば床は冷たくなります。
床が冷えれば、子どもは長時間寝転ぶことができません。

素材は単体で考えるのではなく、家全体の仕組みの中で考えることが大切です。
シラス壁は「主役」というより、家の呼吸を支える“縁の下の存在”に近い素材です。


床材との相性も考える

無垢材のフローリングや自然塗料との組み合わせは、湿気の調整という点で相性がよいといわれています。
吸放湿する素材同士を組み合わせることで、室内の湿度変化がゆるやかになります。
ビニール床材が必ずしも悪いわけではありませんが、素材同士の性質をそろえることで、空気のバランスはより整いやすくなります。

子どもが床で深呼吸したとき、違和感がない。
それは素材同士の相性がつくる空気かもしれません。


長持ちすることも安心のひとつ

子育ては数年では終わりません。
頻繁な塗り替えや大がかりな補修が必要になると、そのたびに工事が入り、生活が乱れます。

シラス壁は耐久性が高く、塗り替えの頻度が少ない素材として知られています。
手間が少ないということは、暮らしが安定するということです。
安心できる家は、強度だけでなく「時間」にも強いことが求められます。


見た目よりも「空気の質」

家づくりでは、どうしてもデザインに目が向きます。
けれど、子どもが安心して床に寝転べる家かどうかは、見た目だけではわかりません。

空気が重くないか。
湿気がこもっていないか。
においが残っていないか。

そうした感覚の積み重ねが、「なんとなく心地いい」という印象をつくります。

シラス壁は派手な設備ではありません。しかし、空気や湿気という目に見えない部分に働きかける素材です。
床の安心を考えるとき、壁という存在もまた重要なのです。


まとめ

子どもが床で寝転んでも安心できる家の条件は、次のように整理できます。

・床付近の空気が安定していること
・湿気を閉じ込めない設計であること
・化学物質をできるだけ減らしていること
・断熱と通気のバランスが取れていること
・長期的に構造が健やかであること

シラス壁は、その中の「湿気」や「空気」を整える役割を担う素材のひとつです。

特別な演出をするわけではありません。
けれど、毎日の暮らしの土台を静かに支えます。

子どもが笑いながら床に寝転ぶ姿は、家の環境が整っている証かもしれません。

素材を選ぶとき、床だけでなく、壁や空気にも目を向けてみる。
その視点が、これからの家づくりを変えていくのだと思います。


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