地震や火災にも強い?シラス壁の安全性を探る

はじめに
「シラス壁」という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。でも、シラスが何なのか、どんな特徴を持ち、どれほど安全性に優れているのかまで知っている人は、意外と少ないのではないでしょうか。
シラスとは、九州南部に広がるか2.5万年前の巨大噴火による火砕流が堆積した火山噴出物です。近年では、このシラスを使った「シラス壁」が健康に良いだけでなく、安全性が高い壁材として注目を集めています。
この記事では、シラス壁が地震や火災にどれくらい強いのか、他の壁材とはどんな違いがあるのかについて、くわしく解説していきます。
シラス壁ってどんな壁?
シラス壁は、シラスを主な原料として化学物質を使わない自然素材の塗り壁です。
では、シラスはどんな性質を持っているのでしょうか。
シラスの特徴
- 多孔質(たくさんの小さな穴が空いている)
- 空気や湿気を吸ったり吐いたりする力が高い
- 自然のままでも耐久性がある
- 消臭・抗菌・抗ウィルス効果がある
- 燃えにくい
この「小さな穴」と「自然が持つ強さ」が、後で説明する“安全性”にもつながっています。
シラス壁の地震への強さ
日本では地震が多く、家の「揺れへの強さ」を気にする人は多いでしょう。でも、「壁材そのものが地震に強い」ってどういう意味なのでしょうか。
ポイントは“軽さ”と“しなやかさ”
地震で建物が揺れるとき、重い材料は大きな負担になります。反対に、軽い材料は揺れの影響を受けにくく、建物全体のダメージを減らすことができます。
外壁用のシラス壁は、一般的なモルタルやコンクリートより軽く、壁に塗ったあとも負担が少ないため、建物の揺れに対して優しく働きます。
また、シラスは細かい粒が重なり合ってできているため、地震の振動をうまく逃す「しなやかさ」があります。完全に割れないわけではありませんが、小さなヒビで済むことが多く、補修もしやすい点が魅力です。
落下しにくい構造
内装のシラス壁は、新築の場合、接着剤で下地に密着しているわけではなく、針状結晶という状態で下地である石膏ボードに物理的に密着しています。そのため、地震や経年変化によって建物や地盤の動きによって、シラス壁にクラックが生じることがあっても、正しく施工されているシラス壁は密着性が高く剥がれ落ちにくい壁材です。
ビニールクロスのように接着剤の劣化によりペロンと剥がれ落ちることが少なく、もしヒビが入っても壁全体がバラバラに崩れる心配があまりありません。
シラス壁は火災に強いのか?
シラス壁の大きな魅力のひとつが「火に強い」という点です。
シラスはもともと火山の素材
シラスは火山噴出物からできています。そのため、もともと高温に耐える性質があり、火災が起きても燃えたり、有害なガスを出したりする心配がほとんどありません。
木材や化学素材を多く使った壁の場合、火がまわると燃えやすかったり、煙が出たりすることがあります。ですが、シラス壁は自然素材なので、「燃えない」ことに加え、「有毒な煙が出ない」という大きなメリットがあります。
炎の広がりを防ぐ効果
火災のとき、壁材が燃えないと炎が広がりにくくなります。これは初期消火や避難時間の確保にもつながるため、住む人の安全を守るうえで大事なポイントです。
シラス壁の「健康面での安全性」も注目ポイント
地震や火事以外にも、シラス壁には「暮らしの安全を守る」効果があります。
有害物質を出さない
シラスは自然素材なので、「ホルムアルデヒド」などの化学物質を出しません。アレルギー体質の人や、子どもがいる家庭でも安心です。
湿度を調整してカビを防ぐ
前に紹介した「小さな穴」が空気を吸ったり吐いたりする働きで、部屋の湿度を快適に保ってくれます。そのおかげでカビが生えにくく、家の健康寿命も伸びます。
ニオイを吸ってくれる
トイレやキッチンのニオイ、生活臭を吸着・分解し、。消臭剤に頼らなくても空気がきれいに保てるのは、目に見えない安全性と言えるでしょう。
こんな人にシラス壁はおすすめ
- 子どもや高齢者など、家の空気の質にこだわりたい人
- カビや湿気が気になりやすい地域に住んでいる人
- 地震や火災への備えをしっかり考えたい人
- 自然素材が好きで、化学物質を避けたい人
- “長く使える家”をつくりたい人
自然素材ならではのやわらかい雰囲気もあり、デザイン面でも人気があります。
まとめ
シラス壁は、ただの“オシャレな塗り壁”ではありません。
地震に対しても、火災に対しても、人の健康に対しても、多くのメリットを持った、バランスの良い自然素材です。
家を建てるときはもちろん、リフォームでも使えるので、興味がある人はぜひ検討してみてください。長く暮らす家だからこそ、安心できる素材を選びたいですね。
![]() |
![]() |

