電気代を抑える家づくり!シラス壁で実現する省エネ効果

はじめに
日本では、夏は湿気が多く、冬は乾燥と寒さが厳しいという特徴があります。そのため、エアコンや加湿器、除湿機が欠かせず、どうしても電気代が高くなりがちです。特に最近は電気料金の値上げが続いており、家計への負担に悩む人も少なくありません。
こうした中で、「家そのものが省エネになる仕組み」を持つ住宅が注目されています。その代表例として挙げられるのが、鹿児島のシラス台地から採れる天然素材を使った 「シラス壁」 です。
シラス壁というと、「自然素材で体に優しい」というイメージを持つ人が多いかもしれません。でも実はそれだけでなく、電気代を抑える効果が期待できる、とても実力のある壁材なのです。
この記事では、シラス壁の仕組みや省エネ効果を丁寧に説明しながら、その魅力を深掘りしていきます。
そもそも「シラス」って何?
まず、シラスについて簡単に説明します。シラスは、約2万5千年前に南九州で起きた巨大噴火で、大量に噴き出した火砕流が積もってできた火山性堆積物のことです。サラサラしていて軽く、細かい粒が無数に集まっている特徴があります。
この「細かい粒が集まった構造」が、のちほど紹介する 調湿性や断熱性 の源になっています。
南九州地域では昔から身近な素材でしたが、近年は建材として高い評価を受け、全国的に住宅に使われるようになりました。
シラス壁が電気代を下げる理由
シラス壁の省エネ効果の中心にあるのが、湿度を整える力と温度をキープする力です。
言葉だけだとイメージしにくいので、それぞれ「日常生活でどのように役立つのか」という視点で説明します。
湿度調整でエアコンの負担を減らす
日本の夏がつらい理由は「暑さ」だけではなく「湿気の多さ」です。湿気が高いと体感温度はぐっと上がり、エアコンの温度を下げたくなります。逆に冬は湿度が低く、空気が乾燥することで暖房の効きも悪くなります。
ここで活躍するのがシラス壁の「呼吸する性質」です。
シラスには無数の小さな穴があり、湿度が高いときは湿気を吸い、乾いたときは湿気を吐き出してくれます。
たとえていうなら、“自然に湿度を調節してくれる大きなフィルター” のようなイメージです。
この調湿効果のおかげで、
- 夏:ジメジメ感が減り、冷房温度を必要以上に下げなくて済む
- 冬:乾燥を緩和し、暖房の効きが良くなる
結果、エアコンの稼働を減らし、電気代の節約につながるというわけです。
天然素材なのに断熱性も高い
意外に思われるかもしれませんが、シラスは断熱性にも優れています。
理由は、シラス粒子の一つひとつに空気を含む小さな孔が開いているためです。
空気は熱を伝えにくい性質があり、シラス壁の内部に無数の空気層があることで、外の暑さや寒さが部屋に伝わりにくくなるのです。
この断熱性があれば、
- 夏に室温が上がりにくい
- 冬に室温が下がりにくい
結果として冷暖房の使用が最小限ですみます。
シラス壁の断熱は “粒そのものが持つ空隙構造に由来する天然の断熱力” という部分が大きな特徴です。
ニオイや空気のよどみを自然に軽減
省エネとは一見関係ないように思えるかもしれませんが、空気の質の良さは、間接的にエアコンの使用頻度を減らします。
シラス壁には、
- 消臭
- 有害物質の吸着
- 調湿効果によるカビの抑制
といった働きがあり、空気を清潔に保ってくれます。
夏場のこもった匂い、湿気、冬のハウスダスト…こうした不快感が減ることで、部屋を換気するために何度も冷暖房を付け直す手間やエネルギーが軽減されるというわけです。
シラス壁の省エネ効果は“家の操作量”を減らすことにつながる
家の中が暑い、寒い、ジメジメする、乾燥する…。
こうした不快さを感じると、私たちは
- エアコンの温度調整
- 加湿器のオンオフ
- 除湿機の稼働
- 窓の開け閉め
と、常に「家を操作」する必要が出てきます。
しかしシラス壁がある家では、壁が自動的に空気を整えるため、住む人の操作量が減るのです。
この「操作しなくても快適」という状態は、実は省エネ住宅づくりでは非常に重要です。人間は不快だとすぐに電気機器に頼るため、家そのものに調整能力があるかどうかが、電気代に大きく影響します。
シラス壁は、電気を使わずに空気を整えてくれる“無電力の空調システム”と言っても過言ではありません。
シラス壁を使うと得られる暮らしの変化
では、シラス壁を使うと「どんな暮らしになるか」をまとめてみます。
夏の夜、寝苦しさが減る
湿気が下がることで体感温度が安定し、寝つきやすくなります。
冬の朝、部屋がひんやりしすぎない
暖房をつけたときの性能が上がり、短時間で暖かくなります。
洗濯物の部屋干しがしやすい
湿気がこもりにくいため、生乾き臭を抑えられます。
ペットや料理のニオイが残りにくい
自然な消臭効果で空間がすっきりします。
化学物質が少ないため、子どもにも安心
シラス壁は自然素材であり、シックハウスの原因物質をほとんど含みません。
こうした小さな快適さの積み重ねが、結果的に「電気代を無理なく節約する暮らし」につながっていきます。
シラス壁はデザイン面でも魅力的
省エネ効果の話が中心になりがちですが、シラス壁には「見た目の雰囲気がよい」という大きな魅力もあります。
塗り壁ならではの優しい質感や、光の反射のやわらかさによって、穏やかで落ち着いた空間をつくることができます。特に間接照明との相性がよく、素材のぬくもりを感じられるインテリアになります。
壁そのものが空気を整えてくれるだけでなく、見た目にも心地よさを与えてくれる素材と言えるでしょう。
まとめ:シラス壁は「自然の力で省エネになる家」をつくる
電気代を抑えようと考えると、ついつい機器の性能や使い方ばかりに目が向きがちです。
しかし、本当に省エネ効果を感じられるのは、家そのものが快適性を保つ能力を持っている場合です。
シラス壁は、
- 湿度を整え
- 温度を保ち
- 空気を清潔にし
- 電気機器の使用頻度を減らし
- 自然素材ならではの心地よさも提供してくれる
という、総合的な“省エネ素材”です。
日本の気候に合った、とても理にかなった建材とも言えます。もし家づくりを考えているなら、ぜひ選択肢の一つとして知っておく価値があります。