内装材の違いで「音の聞こえ方」はどう変わる?

2026/04/06(月) シラス壁コラム

はじめに

家の中にいるとき、「なんだか声が響くな」と感じたことはないでしょうか。
反対に、「この部屋は落ち着くな」「音がやわらかく聞こえるな」と感じることもあるかもしれません。

実はその違い、家具の量や広さだけではなく、「内装材」が大きく関係しています。
床や壁、天井にどんな素材が使われているかによって、音の聞こえ方は驚くほど変わります。

このコラムでは、内装材によって音がどう変わるのかを、中学生でもわかる言葉でゆっくり解説していきます。そして最後には、「音」という視点から見たときに、少し気になる自然素材についても触れてみたいと思います。


音は「跳ね返る」か「吸い込まれる」かで変わる

まずは、音の基本的な性質から考えてみましょう。

音は、空気の振動です。
声を出すと、その振動が空気を通って広がり、壁や天井に当たります。

そのとき、音には大きく2つの動きがあります。

  • 壁に当たって跳ね返る
  • 壁の中に入り込んで弱くなる

この2つのバランスで、「響く部屋」になるか、「落ち着いた部屋」になるかが決まります。

たとえば、学校の体育館。
何もない広い空間で、壁や床が硬い素材でできているため、音は何度も跳ね返ります。そのため、少し話しただけでも声が大きく響いて聞こえます。

反対に、図書館のような場所ではどうでしょう。
本がたくさん並び、カーペットが敷かれていることも多く、音は吸い込まれやすくなります。そのため、声は響きにくく、静かな空間になります。

このように、「何でできているか」が音の聞こえ方を左右するのです。


よく使われる内装材と音の特徴

ここからは、家づくりでよく使われる内装材が、音にどんな影響を与えるのかを見ていきます。

ビニールクロス(一般的な壁紙)

現在、多くの住宅で使われているのがビニールクロスです。
見た目がきれいで、汚れにも強く、価格も比較的おさえやすいという理由から、広く使われています。
ただし、音という面で見ると、少し特徴があります。

ビニールクロスは表面がつるっとしているため、音を吸い込みにくく、反射しやすい素材です。そのため、部屋の中で会話をすると、少し声が響くように感じることがあります。
特に、家具が少ない新築の家では、「こんなに音が響くの?」と感じる人も少なくありません。

フローリング(木の床)

床材として多く使われるフローリング。
木のぬくもりが感じられ、見た目も人気のある素材です。

木は、コンクリートなどに比べると、少しだけ音を吸い込む性質があります。ただし、完全に吸収するわけではないので、足音や物を落としたときの音は、やはり響きやすい傾向があります。
特に、椅子を引く音や、子どもが走る音は、思った以上に遠くまで伝わることがあります。

コンクリートや硬い壁材

マンションなどで使われることの多いコンクリート。
これは、とても硬い素材です。

硬い素材は、音をよく跳ね返します。
そのため、声やテレビの音が、部屋の中で反響しやすくなります。
家具やカーテンが少ない状態だと、より音が響きやすくなるのは、このためです。

カーテンや布製品

内装材というと壁や床を思い浮かべがちですが、カーテンやラグ、ソファなどの布製品も、音に大きく影響します。

布は、音を吸い込むのが得意な素材です。
そのため、厚手のカーテンやカーペットがある部屋では、音がやわらかく聞こえることが多くなります。
実際、映画館や音楽ホールでは、壁の中に布のような素材が使われていることがよくあります。これは、音を整えるためです。


「聞こえ方」は気づきにくいけれど大切

音の問題というと、「うるさいかどうか」だけに注目しがちです。
でも実は、「うるさくないけど疲れる」という音もあります。

たとえば、家族で会話しているとき。
声が少しずつ反射して、耳に何度も届くと、無意識のうちに脳が疲れてしまうことがあります。
また、テレビの音量を上げていないのに、「なんだか音が強く感じる」と思うこともあります。これも、音が部屋の中で跳ね返っているサインかもしれません。

逆に、音がやわらかく整っている空間では、声が聞き取りやすくなり、長く過ごしても疲れにくくなります。
これは勉強部屋やリビングなど、日常のさまざまな場面で大きな違いになります。


壁の素材は「音の性格」を決める

床や家具も大切ですが、実は最も影響が大きいのは「壁」です。
理由はシンプルです。壁は、部屋の中で一番広い面積を占めているからです。

もし壁が音をよく跳ね返す素材なら、部屋の中で音が何度も反射します。
反対に、音をほどよく吸収する素材なら、余計な反射が減り、落ち着いた聞こえ方になります。

ここで大切なのは、「完全に音を消す」ことではありません。
音がまったく響かない部屋は、逆に不自然に感じることがあります。大切なのは、「ほどよく響き、ほどよく吸収する」バランスなのです。


自然素材の壁が持つ、もうひとつの特徴

最近では、自然素材を使った壁材に注目する人も増えてきました。
その理由のひとつが、「表面の細かさ」です。自然素材の壁は、目に見えないほど小さな穴や凹凸をたくさん持っています。この細かな構造が、音をやさしく受け止める働きをします。

たとえば、土や石を原料とした塗り壁などは、表面が完全に平らではありません。細かな凹凸があることで、音が一方向に跳ね返らず、少しずつ弱まりながら広がっていきます。
この「音を散らす」という働きが、聞こえ方をやわらかくしてくれるのです。


「シラス」という自然素材のこと

ここで、少し気になる素材があります。
それが「シラス」です。

シラスは、九州南部に広く分布している火砕流堆積物で、約2万7000年前の姶良カルデラの大噴火によって生まれた自然素材です。
この素材の特徴のひとつが、非常に細かな粒の集まりであることです。その粒の間には、無数の小さなすき間があります。

このすき間は、目ではほとんど見えません。けれど、この小さな空間が、空気や音と関わる働きを持っています。


小さな穴が「音」を整える

音が壁に当たったとき、表面に小さな穴が多い素材は、音を少しずつ中に取り込みます。
シラスを使った壁も、表面に微細な空間を持っているため、音が当たると、その一部が中に入り込み、弱まりながら消えていきます。
これによって、音が強く跳ね返るのを防ぎ、部屋の中での反響をやわらげる働きが期待できます。

たとえば、次のような場面を想像してみてください。

  • 家族で食事をしているリビング
  • 子どもが宿題をする部屋
  • テレビを見ながら会話する時間

こうした日常の場面では、「音が小さいこと」よりも、「音が聞き取りやすいこと」のほうが大切になることがあります。
声が重ならず、耳にやさしく届く環境は、想像以上に心地よいものです。


「どれくらい音を吸い込むか」を表す考え方

ではここで、少しだけ「音の吸い込み方」を数字で考える方法について触れてみましょう。

壁材の世界では、「吸音率(きゅうおんりつ)」という言葉があります。少しむずかしそうに聞こえますが、意味はとてもシンプルです。
吸音率とは、壁に当たった音のうち、どれくらいが跳ね返らずに吸い込まれたかを表す考え方のことです。

音が壁に当たると、

  • 一部は跳ね返る
  • 一部は壁の中を通り抜ける
  • そして一部は壁の中で吸い込まれる

という動きが同時に起こります。

このとき、「跳ね返ってこなかった音がどれくらいあるか」を割合で考えたものが、吸音率です。
つまり、数字が高いほど、音をやわらかく受け止める力があると考えることができます。


シラス壁が持つ「細かな孔」と音の関係

シラスを使った壁が音とどのように関わるのかを考えるとき、この吸音率という考え方はとても参考になります。

シラス壁は、多孔質(たこうしつ)といって、内部にたくさんの小さな孔(あな)を持った構造をしています。
しかも、その孔は非常に細かく、目ではほとんど見えないほどの大きさです。
音がこの壁に当たると、すべてが跳ね返るわけではありません。

  • 一部は表面で反射し
  • 一部は壁の奥へと進み
  • そして一部は、その細かな孔の中で少しずつ弱まりながら吸収されていきます

こうした働きによって、部屋の中で音が強く反射し続けるのを防ぎ、聞こえ方をやわらかく整えていきます。

さらに特徴的なのは、音の高さとの関係です。
一般に、シラス壁は、高い音(高周波の音)になるほど吸音率が高くなる傾向があるといわれています。

高い音というのは、たとえば――

  • 食器が触れ合う音
  • 子どもの声
  • テレビやスマートフォンから出る音
  • キーンとした反響音

など、日常生活の中で意外と多く存在しています。
こうした音がやわらぐことで、「なんとなく耳が疲れにくい」「会話が聞き取りやすい」と感じる場面につながることもあります。


音だけではない「空気との関係」

音の話から少しだけ広げると、壁材が持つ小さな穴は、音以外にも関わっています。
たとえば、湿気やにおい。
空気中にある水分やにおいの成分は、こうした細かなすき間に入り込むことがあります。
そのため、空気がこもりにくく、室内の環境が安定しやすいと感じる人もいます。

音だけでなく、空気や湿度とも関係がある。
そう考えると、壁材というものが、思った以上に暮らしに関わっていることがわかります。


「見えない快適さ」に目を向けてみる

家づくりやリフォームを考えるとき、多くの人が注目するのは見た目です。
色やデザイン、家具との相性。
もちろん、それもとても大切です。

けれど、本当に長く住んでみると、気になってくるのは「見えない部分」だったりします。

  • 音が響きすぎないか
  • 会話が聞き取りやすいか
  • 長くいて疲れないか

こうした小さな積み重ねが、暮らしの心地よさを左右します。
そして、その心地よさは、エアコンや照明のような設備だけでなく、「壁や床といった素材そのもの」から生まれていることも少なくありません。


まとめ|音をきっかけに素材を考えてみる

もしこれから家づくりやリフォームを考える機会があれば、「音」という視点から素材を見てみるのもひとつの方法です。

見た目や価格だけでなく、

  • 音はどう響くか
  • 声は聞き取りやすいか
  • 長く過ごして疲れないか

そんな視点で素材を比べてみると、これまでとは違った発見があるかもしれません。

普段あまり意識しない「音の聞こえ方」。
けれどそれは、毎日の暮らしの中で、知らないうちに私たちの気持ちに影響を与えています。

だからこそ、壁や床の素材を選ぶときには、「音」という見えない要素にも、少しだけ目を向けてみてはいかがでしょうか。
その先に、これまで気づかなかった心地よさが見えてくるかもしれません。


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