シラス壁はカビに強い?湿気対策としての実力を検証
はじめに
梅雨の時期や、夏のジメジメした日が続くと、気になってくるのが「湿気」と「カビ」。特に日本のような高温多湿の気候では、家の中の空気がこもりやすく、カビが発生しやすくなります。浴室やキッチンだけでなく、押し入れや壁の内側にもカビが潜んでいることがあるのです。
そんな中、「シラス壁はカビに強い」と耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。でも本当に、壁をシラスに変えるだけで、カビや湿気の悩みが減るのでしょうか?今回は、シラス壁の「湿気対策」としての実力を、やさしくわかりやすく解説していきます。
そもそもシラス壁ってなに?
まずは、シラス壁とは何かを知っておきましょう。
「シラス」とは、火山の噴火によって生まれた細かい軽石のような自然素材です。特に九州地方に多く分布していて、数万年前の噴火でできたものが今でも大量に存在しています。これを細かく砕いて、壁材として使えるように加工したのが「シラス壁」です。
見た目は自然な風合いで、ちょっとザラザラした質感が特徴。いわゆる「塗り壁」の一種ですが、化学物質をほとんど使っておらず、自然素材だけで仕上げられているのがポイントです。
シラス壁の「呼吸する力」がカビを防ぐ
シラス壁がカビに強いと言われる最大の理由は、「調湿機能」があるからです。
どういうことかというと、シラス壁は空気中の湿気を吸ったり吐いたりして、ちょうどよい湿度に保とうとする性質を持っているのです。これを「呼吸する壁」と表現することもあります。
たとえば梅雨時で部屋の湿度が高くなってきたとき、シラス壁がその湿気を吸い取ってくれます。逆に、冬場など空気が乾燥しているときには、壁の中にたまっていた湿気を放出して、室内の湿度を保とうとするんです。
この自然な調湿作用によって、カビの発生しやすい「湿度70%以上」という環境になりにくくなります。
一般的な壁との違いは?
では、普通の壁(たとえばビニールクロスや石膏ボードなど)と何が違うのでしょうか?
多くの一般的な壁材は、見た目はきれいでも、湿気を吸ったり吐いたりすることはできません。つまり、室内の湿度が高くなればそのまま湿気がこもり、壁の裏側や隙間にカビが発生してしまうことがあります。
一方、シラス壁は天然の小さな穴が無数に空いていて、その穴が空気中の水分を調整してくれるため、内部までカラッとした状態を保ちやすいのです。
さらに、シラス壁は静電気を起こしにくいため、ホコリや汚れが付きにくいというメリットもあります。カビのエサになるホコリを防ぐという意味でも、カビ対策には有効です。
実際にカビは生えないのか?実験と事例
とはいえ、「本当に効果があるの?」と思う方もいるかもしれません。そこで、いくつかの実験結果や、実際の住宅での使用事例を紹介します。
カビ発生テスト
建材メーカーの中には、同じ条件下でビニールクロスとシラス壁に湿度を加えてカビの発生を比較する実験を行っているところもあります。その結果、ビニールクロスには数日でカビが発生したのに対し、シラス壁はカビがほとんど見られなかったという報告があります。
この違いは、やはり調湿性と、シラスの持つ天然の抗菌性によるものと考えられています。
リフォーム現場での体験談
ある築30年の木造住宅をリフォームした際、押し入れや北側の壁にシラス壁を使ったケースがあります。元々カビに悩まされていた家主さんが、シラス壁にしてから「カビ臭さが消えた」「空気が軽くなったような気がする」と話していたそうです。
また、調査のため数年後に同じ現場を訪れたときも、壁にカビの痕跡は見られず、湿気によるベタつきも感じなかったとのこと。
シラス壁のもうひとつの実力「消臭効果」
カビ対策とは少しズレますが、湿気が原因で起こるもうひとつの悩み、「ニオイ」にもシラス壁は効果を発揮します。
シラスには消臭機能があり、生ゴミ臭やタバコ臭、ペットのニオイなど、生活の中で気になるニオイ成分を吸着してくれるのです。特に湿気とニオイが混ざってこもるような部屋(たとえば玄関やトイレ)では、効果を実感しやすいでしょう。
メンテナンスの手軽さも魅力
「自然素材って手入れが大変そう」というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、シラス壁は意外とお手入れもラクです。
汚れた場合は、水で湿らせた布で軽くこするだけで、ある程度の汚れは落ちます。表面のザラザラ感のおかげで傷も目立ちにくく、部分的な補修も比較的簡単にできます。
また、塗り替えや補修の際に有害な化学物質が出ないので、アレルギーのある方や小さなお子さんがいる家庭にも安心です。
どんな場所に向いている?
シラス壁は、家の中のどんな場所に使ってもいいのですが、特に以下のような湿気が気になる場所におすすめです。
- 玄関や廊下:外から持ち込んだ湿気やニオイを吸収
- 寝室:睡眠中の呼気で湿度が上がりやすいため
- クローゼット・押し入れ:空気がこもりがちでカビが発生しやすい
- トイレや洗面所:水まわりの湿気・ニオイ対策に最適
もちろん、リビング全体に使うことで、家全体の空気環境を整えることもできます。
まとめ:シラス壁はカビ対策に本当に強い!
ここまで見てきたように、シラス壁は「カビが生えにくい環境をつくる力」がしっかりとある壁材です。
自然素材でありながら、湿気を自らコントロールし、さらにニオイやカビの原因となる要素を減らしてくれる。その実力は、単なる見た目の美しさを超えて、住む人の健康や快適さに直結しています。
もし「梅雨のジメジメが憂うつ」「カビ対策に悩んでいる」「子どもやペットのために空気のきれいな家にしたい」と考えているなら、シラス壁を取り入れてみる価値は大いにあるでしょう。
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