観光施設・公共建築に広がるシラス壁の活用例

2025/11/14(金) シラス壁コラム

(施工事例:霧島酒造株式会社・霧島ファクトリーガーデン)

はじめに

自然素材のやさしさが、人の集まる場所を変えていく…。

観光地に行ったとき、ふと「空気が気持ちいいな」と感じたことはありませんか?
美術館、資料館、道の駅、図書館、温泉施設…。どこか落ち着いた雰囲気があって、長居したくなるような空間。

その心地よさの裏側に、じつは「シラス壁」が使われているケースが増えています。

ここ数年、一般住宅だけでなく、観光施設や公共建築にもシラス壁の採用が広がっています。
「自然素材だから健康に良い」という理由だけではなく、“人が集まる場所だからこそ必要とされている理由”があるのです。

この記事では、シラス壁が観光施設や公共建築でどのように使われているのか、そしてどんな価値を生んでいるのかを、じっくり紹介していきます。


そもそもシラス壁とは?

「シラス壁」とは、およそ2万5千年前の大噴火によって九州南部に広がる火山噴出物“シラス”という自然素材を使って仕上げる塗り壁です。
ふだん何気なく触れている壁紙とはまったく別物で、人工的な接着剤などをあまり使わず、素材そのものの力を生かしている点が大きな特徴です。

シラス壁が、観光施設・公共建築との相性が良い理由を簡単に整理すると、次の4つです。

  1. 人の出入りが多くても空気が汚れにくい
  2. 湿気・温度を自然に調整してくれる
  3. 火災に強く、建物全体の安全性が高まる
  4. 自然素材による高級感・安心感・落ち着きが出る

つまり、「快適・安全・デザイン性」が同時に手に入る素材なんですね。


観光施設にシラス壁が広がる理由

観光地には、県外から来る人、海外の人、子どもから高齢者まで、本当に幅広い人が出入りします。
さまざまな人が長時間滞在する空間だからこそ、“空気の質”や“快適さ”がとても大切になります。

その理由を3つに分けて見ていきましょう。

① 空気が澄んでいる=「その場にいる気持ちよさ」につながる

観光施設の価値は、展示内容だけではありません。
「どんな空気の中で体験できるか」も満足度に影響します。

シラス壁は、空気中のにおい・有害物質・湿気を吸着して、自然に空気を整えてくれます。

多くの観光施設で、「建物に入った瞬間、空気が気持ちいい」と言われる理由のひとつです。

② においの発生しやすい施設で効果を

観光施設には、飲食コーナー、体験スペース、大人数の休憩室など、どうしてもにおいがこもりがちな場所があります。

シラス壁はにおいのもとを吸着して中和するため、施設管理の負担もぐっと減ります。

③ 湿気の多い温泉施設・資料館にぴったり

温泉・博物館など湿度の高い建物は、カビ対策が大きな悩み。
しかしシラス壁は湿度を自然に調整してくれるため、内部結露やカビの問題が起きにくいのです。温泉・博物館など湿度の高い建物は、カビ対策が大きな悩み。
しかしシラス壁は湿度を自然に調整してくれるため、内部結露やカビの問題が起きにくいのです。

結果として、展示物の保護にも役立つため、文化財を扱う施設でも重宝されています。


公共建築で使われる理由

次に、公共建築(市役所、学校、図書館、病院、子育て支援施設など)でシラス壁が選ばれている理由を見ていきましょう。

① 子どもや高齢者にやさしい空気環境

公共の建物には、体の弱い人・アレルギーを持つ人も多く訪れます。
シラス壁は化学物質をほとんど含まないため、“シックハウス症候群のリスクを下げる”というメリットがあります。

特に保育園・学校・図書館での採用が増えているのはこのためです。

② ランニングコスト(維持費)が安い

公共建築は、税金で運用されるため「できるだけ維持費を抑えること」が求められます。

シラス壁は長持ちしやすく、部分補修も簡単。張り替えの回数が少ないので、長期的には大幅なコスト削減につながります。

③ 防火性が高く、安全基準もクリアしやすい

シラスはもともと“火山で焼かれた素材”。燃えにくく、火事に強いのも特長です。

公共建築では、火災時の安全性が特に重視されるため、不燃性の建材であるシラス壁は高評価を得ています。


実際に使われている施設例

ここでは、どんな場所でシラス壁が活躍しているのか、ご紹介します。

● 博物館

静かで落ち着いた空間づくりが求められる博物館。
シラス壁は光の反射が柔らかく、作品を引き立てます。

さらに、展示室の湿気を一定に保つことで、絵画・写真・骨董品など展示物の保存にも効果を発揮しています。

● 温泉施設・宿泊施設

温泉は湿度が高いため、結露やカビが大敵。
シラス壁は湿度調整に優れているので、壁内のカビ発生を防ぎ、建物の寿命も伸ばします。
ホテルの客室やエンタランスでは、インテリアとしてもその魅力を発揮しています。

● 道の駅・海の家

観光地の玄関口である道の駅や海辺の憩スポットである海の家は、地元の特産品と相性の良い“自然素材のデザイン”が評価されています。
直売所のにおい対策にも役立ち、商品がより新鮮に感じられるという声も多いです。

● 図書館

多くの人が長時間滞在する図書館では、「空気が澄んでいる」と評判になることが多いです。
本のにおい、湿気、利用者の出入りによる空気のよどみ…。
それらを自然に調整してくれるため、勉強中の集中力も保ちやすくなります。

●幼稚園・保育園

子どもは大人よりも空気の影響を受けやすいため、自然素材でつくられた空間はとても重要です。

シラス壁は、
・ホコリを寄せつけない
・アレルゲンを減らす
・においがこもらない
など、子どもの健康に直結するメリットが多く、保護者にも喜ばれています。


施設側に聞こえてくる“リアルな声”

シラス壁を採用した施設では、こんな声がよく上がっています。

  • 「換気回数が少なくても空気がすっきりする」
  • 「観光客から“空気が気持ちいい”とよく褒められる」
  • 「湿度が安定して、展示物の保全に良い」
  • 「長持ちするので、予算計画が立てやすい」

このように、建物を管理する側にも大きなメリットがあるのです。


観光施設の価値を高める“素材力”

最近の観光は、「どこへ行くか」だけでなく、「どんな体験をするか」が重視される時代になりました。
建物のデザイン・素材・空気環境も観光価値の一部として捉えられています。
シラス壁が観光施設に広がっているのは、単なる「自然素材の流行」ではなく、訪れた人の満足度そのものを上げる素材だからです。

目に見えない空気の質が、旅の記憶をそっと支えているーー。
シラス壁は、そんな静かな存在感を持った建材なのです。


まとめ:人が集まる場所ほど、“自然素材”が力を発揮する

観光施設・公共建築でシラス壁の採用が増えているのは、大きく言えば次の3つの理由です。

  • 人にやさしい空気をつくるから
  • 建物が長持ちし、管理コストを減らせるから
  • 自然素材ならではの落ち着いたデザインが得られるから

これからの建築は、“使う人の心と体を守る”ことがもっと求められていきます。
シラス壁は、その流れの中で「機能」「健康」「デザイン」のバランスを取れる、とても優れた選択肢です。
観光地の魅力をそっと支える存在として、今後ますます広がっていくでしょう。


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