自然素材の壁にするメリット!健康・環境・経済性の視点で解説
はじめに
家づくりを考えるとき、デザインや間取りといった見た目のことだけでなく、「壁の素材」についても注目する人が増えてきました。特に最近は、自然素材の壁を選ぶ人が多くなっています。
なぜでしょうか?それは、自然素材の壁が「健康」「環境」「経済性」という、私たちの暮らしにとってとても大切な3つのポイントに良い影響を与えてくれるからです。
この記事では、自然素材の壁が持つ魅力について、中学生でもわかる言葉で、でもしっかりと本質まで掘り下げて解説していきます。
そもそも「自然素材の壁」ってどんなもの?
まずは「自然素材の壁」って何かを知っておきましょう。
自然素材とは、自然の中にあるものをそのまま、あるいはできるだけ手を加えずに使った素材のことです。壁に使われる自然素材には、以下のようなものがあります。
- 漆喰(しっくい):石灰を主な材料とした塗り壁
- 珪藻土(けいそうど):植物プランクトンの化石からできた土
- シラス壁:火山噴出物のシラスを使った壁材
- 土壁:粘土や砂などを混ぜて作る伝統的な壁
これらは、昔ながらの日本の家でも使われていた素材です。近年、再び注目されているのは「昔のものが今の時代にも合っている」ということが分かってきたからです。
健康にやさしい理由とは?
自然素材の壁が注目される一番の理由は「健康へのやさしさ」です。
有害な化学物質が少ない
一般的なビニールクロスや合成塗料には、ホルムアルデヒドなどの化学物質が含まれていることがあります。これが原因で、目がチカチカしたり、頭が痛くなったりする「シックハウス症候群」という症状が出ることも。
一方、自然素材の壁は、化学物質をほとんど使っていません。漆喰や珪藻土、シラス壁などは、原料が自然由来で、室内の空気を汚すことがないのです。
湿度を調整してくれる
自然素材の壁は、呼吸する壁とも言われます。どういうことかというと、空気中の水分を吸ったり吐いたりして、部屋の湿度を快適に保ってくれるのです。
梅雨の時期でもジメジメせず、乾燥する冬でもカラカラになりにくい。この調湿効果が、カビやダニの発生を抑え、ぜんそくやアレルギーのリスクも下げてくれます。
ニオイや空気の汚れを分解
シラス壁や漆喰などには、脱臭効果や有害物質の分解作用があることもわかっています。例えばタバコのにおいやペットのにおいが軽減されたり、空気中のホルムアルデヒドを吸収して分解したりするんです。
まるで自然の空気清浄機のような働きですね。
環境にやさしい理由とは?
地球温暖化や環境汚染が大きな問題となっている今、家づくりでも「環境にやさしいかどうか」が大切な基準になっています。
自然素材の壁は、その点でも大きなメリットがあります。
製造時のエネルギーが少ない
自然素材の壁は、合成材料に比べて製造に使うエネルギーが少ないものが多いです。たとえばビニールクロスは石油由来の製品で、作るときにたくさんのエネルギーとCO₂を排出します。
一方、シラスや土、石灰などは、もともと自然にあるものを加工して使うだけなので、地球への負担が小さいのです。
廃棄しても自然にかえる
家を解体したり、リフォームしたりするときに出る「廃材」も問題になります。自然素材の壁は、捨てても土にかえりやすいので、処理が簡単で環境へのダメージも少ないです。
地産地消がしやすい
シラス壁は九州地方、土壁は各地の土を使うなど、その地域にある素材を使ってつくられることも多いです。地元で採れたものを使えば、運搬によるエネルギーも減らせて、地域の産業も支えられます。
経済的にもおトク?
「自然素材って高そう…」と思う人もいるかもしれません。たしかに初期費用はビニールクロスなどより高いことが多いです。でも、長い目で見るとおトクになることも多いんです。
耐久性が高い
自然素材の壁はとても丈夫です。たとえば漆喰は、数十年持つとも言われています。表面の劣化も少なく、こまめに張り替える必要がないので、メンテナンスコストが安くなります。
光熱費の節約にも
調湿効果によって、夏は涼しく冬は暖かく感じられるため、エアコンの使用が減ります。特に高気密・高断熱の家と組み合わせれば、冷暖房費の節約にもつながるでしょう。
健康トラブルが減れば医療費も安く
カビやダニが原因のアレルギー、空気の汚れによる体調不良が減れば、病院に行く回数も減りますよね。家族みんなが健康でいられることは、見えない節約効果につながります。
どんな人におすすめ?
自然素材の壁は、次のような人に特におすすめです。
- 小さな子どもがいる家庭(健康への配慮)
- アレルギー体質の家族がいる人
- ペットと暮らしている人(におい対策)
- 自然や環境に関心がある人
- 長く住む家をしっかり建てたい人
見た目もナチュラルで温かみがあり、落ち着いた空間を演出してくれるので、リラックスできる家を目指す人にもピッタリです。
注意点はあるの?
良いことづくめに見える自然素材の壁ですが、いくつか注意点もあります。
- 施工に技術が必要:漆喰や土壁は、塗り方によって仕上がりが大きく変わります。経験のある職人さんに頼むのが安心です。
- 素材ごとに特徴が違う:調湿性が高いもの、においに強いもの、汚れにくいものなど、種類によって得意分野が違うので、目的に合った素材選びが大切です。
- 一時的なにおいや粉落ちがある場合も:自然素材特有のにおいや、乾燥中の粉落ちなどがあることもありますが、ほとんどは時間とともに落ち着きます。
まとめ:自然素材の壁は“未来への投資”
自然素材の壁は、ただ「オシャレだから」「流行ってるから」選ばれているわけではありません。
- 家族の健康を守る
- 地球の環境に配慮する
- 長い目で見て経済的
この3つの視点から見て、とても理にかなった選択なのです。
「10年後、20年後もこの家に住みたい」と思えるような、後悔しない家づくりをしたいなら、壁という“目立たないけど大事な部分”にも、ぜひ目を向けてみてください。
自然素材の壁は、見えないところで暮らしを支えてくれる、静かな名脇役です。
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