自然素材の壁、その魅力

自然素材でリフォーム

健康や環境のことを考えて、自然素材でリフォームしたいという方が増えています。自然素材にはそれならではの良さがあります。自然な風合いを楽しめるのはもちろん、空気の浄化、消臭、調湿、断熱といった機能性に優れたものもあります。外壁や内壁をはじめとした建材にどのようなものを使えばよいかのか、基本知識や選び方、事例を交えてガイドします。

自然素材の壁、その魅力

住宅の壁は古くから自然素材で造られてきました。伝統の工法で造られる家には、四季と自然に親しむ日本人の心を和ませ癒し守った歴史があります。しかし、その歴史も高度経済成長期に効率化、低価格化を求める流れの中で工業化された建材へと取って代わられてしまいました。現代の住宅の壁仕上げ材の主流はビニールクロスで、大量生産が可能な為安価でデザインも豊富ですが、製造過程で化学物質を使用する事から、ビニールクロスが施工された家では、シックハウス症候群やアレルギーを発症するケースも増えています。

価格や施工性の問題だけではなく、安全性、省エネ性、環境問題の観点から壁の仕上げ材について考える事も長く住まう為に大切な事なのです。
そこで、素材選びの参考となるよう、主な自然素材の製品例と特徴をご説明致します。

植物

植物繊維でつくられた紙による壁紙がいろいろ発売されています。こうぞやみつまたで作られた和紙はその製品のひとつですが、最近はさまざまな植物繊維を使った壁紙が作られています。

①こうぞ・みつまた

こうぞはクワ科の植物で繊維が長く太いので、たいへん丈夫な紙ができます。一方、みつまたは、ジンチョウゲ科の植物でこうぞに比べ繊維は短く強さもやや劣りますが、滑らかで光沢のある紙ができます。これらを主原料とした和紙は、木材と同じで呼吸しています。湿度の高い時は湿気を吸収し、乾燥したときには蓄えていた湿気を放出しますので、調湿効果により夏は涼しく、冬は暖かく過ごせます。また、無作為に並んだ繊維が光を乱反射させるので、照明の灯りや日光を柔らかくする調光効果もあります。光と同様、音も分散・乱反射しますので、音は柔らかくなるだけでなく、部屋から洩れる音も軽減できます。保温効果もあります。さらに、和紙の場合はそのまま重ね貼りができますので、リフォーム時の工程が大幅に短縮できます。重ね貼りする事で、和紙の特性がより高い効果を発揮します。植物が原料ですから、環境負荷が低く、腐れば肥料になり、燃やしても有害物質をだしません。本物の和紙は高価なものです。安価なものは、材料にわずかなこうぞの繊維などが混入しているだけの和紙の擬似品ですので、注意しましょう。

②ケナフ

アオイ科の植物で成長が早く収穫できる繊維も多いため、木材パルプの代替資源として森林伐採の防止作物として有名になりました。これを使用したケナフ紙の壁紙もいろいろ発売されています。和紙に混ぜてあるものもあります。強い繊維が特徴的である上に、和紙などと同様の調湿、調音、調光効果があります。廃棄しても、燃やしても有害な物質をださないメリットもあります。

③オーガニックコットン

オーガニックとは、有機栽培の意味で、化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料などにより土壌の持つ力を活かして栽培する農法のことですが、オーガニックと名乗るには、国によって認定機関、基準、それを示すマークがあります。つまり、認定されない限り、有機栽培=オーガニックとは言えないことになっています。ちなみに、日本では、図2のJASマークで示され、基準として3年間農薬や化学肥料を使用しない土地で栽培、化学合成農薬や化学肥料は原則使用しない、遺伝子組み換え原材料は使用しない、放射線照射はしない、合成添加物の使用制限など細かく決められています。そのような基準をクリアしたオーガニックコットンは、織物、つまり布クロスとして使われています。(図3参照)オーガニックの安心が、赤ちゃんやペットがいる家庭などで人気があるようです。また、布クロス独特のボリューム感と、あたたかな風合い、ソフトな感触も魅力です。特徴としては、調湿性・通気性があり、結露が発生しにくいという長所があります。反面、水分や汚れを染みこみやすく、ホツレやすく、汚れが落ちにくい、価格が高いなどの短所があります。布クロスには、撥水・防汚加工などが施されたものもありますが、せっかくオーガニックコットンを使用しているので、無加工のものを選ぶべきでしょう。布クロスは、普通に張ると継目が目立ちやすいという特徴があります。デメリットとして、きれいに張るには、熟練した職人による施工が必要です。

珪藻土

内装材として珪藻土を売りにしている新築物件も見られるほど、最近はすっかり耳慣れた素材のひとつです。珪藻土は、コテなどで塗布する左官材として一般的には使用されますが、珪藻土を混入したビニールクロスなども最近は発売されています。珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石の堆積物(堆積岩)です。珪藻の殻は二酸化ケイ素でできているため、珪藻土もこれを主成分としています。混入している粘土粒子などの色の違いにより、珪藻土の色は白色、淡黄色、灰緑色と産地によってさまざまです。耐火性と断熱性に優れ、高い保温性と程よい吸湿性で昔から壁材として使われてきました。珪藻土そのものには接着能力はないので、壁材としては石灰やアクリル系接着剤や樹脂を混ぜて使用されるのが一般的です。したがって、珪藻土を数パーセントしか含まないものも多く流通していますので、何がどのくらい含まれているのか確認して選ぶようにしましょう。

石灰岩・貝殻

石灰岩や貝殻を焼成すると、成分が酸化カルシウムの生石灰になります。ちなみに、石灰岩からできた生石灰を石灰(いしばい)、貝殻からできたものを貝灰(かいばい)と呼びます。生石灰に水を加えると成分が水酸化カルシウムの消石灰になり、消石灰に水を加えて練り合わせて壁に塗ると、空気中の二酸化炭素と反応して硬化します。消石灰を水で練ったものは粘性に乏しいので、壁材としての作業性を向上させるために角又(つのまた。暖海の岩上に生育する海藻)などの糊やスサと呼ばれる植物繊維を混ぜて補強したものが漆喰です。防火性が高いのが特徴で、古くは城や土蔵に使われたりしました。また、調湿機能も持ち、季節の変化に耐え、カビがつきにくいという性質をもつため、今でも押入れの壁などに使われることもあります。そのほか、遮音性や遮光性にも優れています。乾燥後の収縮率が高いためひびが入りやすいのが欠点といわれています。ヨーロッパの建築にも石灰が使われています。それは消石灰に川砂だけを混ぜた石灰モルタルや生石灰を大量の水で消化させ寝かせてペースト状にした生石灰クリームです。生石灰クリームは、消石灰に比べて、硬化後の収縮が少なく表面硬度が硬いうえに、コテによる艶が出やすい特徴があります。

シラス

シラスは、2万5千年前、現在の鹿児島湾北部を火口とする姶良カルデラの大噴火によって発生した火砕流が堆積したもので、マグマの超高温で焼成された高純度のセラミック物質です。南九州はシラスによる広大な台地から形成され、シラス地層の厚さは5~60mから150mにもなります。非晶質の割合が60~80%もあるシラスは、火山灰や他の火山噴出物とは全く異なる特異な性質をもっています。非晶質は、分子構成が不安定で活性化しやすく、環境によって触媒反応等が起きやすくなることから、消臭・分解・殺菌・イオン化などの機能を発揮すると考えられています。そのシラスを原料とした壁材(図4)は、漆喰や珪藻土とも違った独特の風合いと色合いが特徴です。調湿、消臭性能に優れ、ホルムアルデヒドを吸着して再放出しません。また、多孔質なシラスの特性で、断熱性、防火性にも優れています。シラスは、すでにマグマの超高温で焼成された高純度のセラミックですから、珪藻土や石灰のように焼成する必要がなく、製造過程においても省エネで環境に優しい材料といえます。さらに、色も豊富な上、塗りつけのパターンを変えることができるため、デザイン性の高い部屋づくりも可能です。既存のビニールクロスの上に塗布できる、リフォーム専用の施工性に優れた製品もありDIYにもオススメです。(図5)


→シラスについてお知りになりたい方はコチラをご覧ください

「健康」や「癒し」を考えた時、改めて自然素材の良さを感じることができるのではないでしょうか。自然素材は、深みがありやわらかいその表情から、和室・洋室どちらにもマッチする万能性があります。現在の壁はビニールクロスという方は一度、自然素材の壁を検討してみてはいかがでしょうか。